歌野晶午/角川文庫/590円/2010.9.28.読了
歌野晶午のビターな短編集。 “おねえちゃん”…おねえちゃんには優しくてあたしには厳しい母親。見て見ぬふりをする父親。あたしはきっと○○に違いない、と姪に相談された叔母。 “サクラチル”…DVを受けているにも関わらず昼夜なく働き、夫に尽している隣家の主婦。その家庭が秘めた戦慄の真実とは。 “天国の兄に一筆啓上”…時効を迎えた殺人事件の被害者の弟が兄に向けた手紙…の体裁の超短編。 “消された15番”…貧しい中、息子をスポーツ名門校に通わせている母親。息子は甲子園の控えベンチに入ることができた。テレビの前で見守る母親だが、テレビに映る一度きりのチャンスのときにニュース速報が流れ…。 “死面”…少年の実家には入ることが禁じられた座敷があった。できごごろでその部屋に入った少年は若くしてなくなった叔母のデスマスクを発見する。 “防疫”…わが子を早期教育する大切さに気付いた母親は、幼い娘を徹底的に管理する。しかし効果は上がらずいら立ちは募るばかり…。 “殺人休暇”…合コンで知り合った男性に理想の女性と、高価なプレゼントを贈り続けられるヒロイン。管理的な彼の言動に辟易して別れを告げるが…。 “In the lap of the mother”…パチンコ中毒の母親を持った子どもの悲劇。としか言いようがありません。 などなど11篇も入ってお得な1冊です。いずれおとらぬ読後感の悪さ。歌野晶午の腕の冴えです。 評価 良
by susitaro522
| 2010-09-28 13:53
| ミステリ
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