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生霊の如き重るもの

生霊の如き重るもの_e0014175_2318266.jpg三津田信三/講談社/1100円/2011.8.10.読了

 刀城言耶が探偵役のミステリの新刊です。今回は若き日の言耶が活躍する短編集。
 “死霊の如き歩くもの”“天魔の如き跳ねるもの”“死蠟の如き滴るもの”“生霊の如き重るもの”“顔無の如き攫うもの”の5編が収録されています。怪異な話に目がない言耶。礼儀正しい好青年なので、大学の指導教授に気に入られ、いろいろコネが使えます。そんな経緯で紹介され、訪ねていった先で事件があり、解決し、次のところでは探偵として扱われ…というパターンでした。今までの本では名前くらいしか登場しなかった父親にして名探偵が言耶に及ぼしている影響が書かれており、言耶くん、若いころは大変だったんだねってカンジでした。それと、うっとおしい先輩の阿武隈川烏がしつこくしつこく登場し、うっとおしいオーラをまきちらします。
 ミステリ具合と言えば…5編のうち“死霊の如き歩くもの”“死蠟の如き滴るもの”“顔無の如き攫うもの”が建物の外を含めた密室トリック。雪の上、あるいはぬかるみの上の足跡とか、広場の出口にずっと人が立っていたとかで密室を構成するタイプです。今回、つくづく私は向いていないことが分かりました。脳がついていけません(涙)。
 表題作“生霊の如き重るもの”が一番おもしろかったです。母親を異にする三兄弟のどろどろとした感情のもつれと跡継ぎが入れ替わったのかそうでないのか…が読みどころでした。

評価 良
by susitaro522 | 2011-08-10 20:05 | ミステリ
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