宮部みゆき/講談社文庫/838円/2011.10.2.読了
「おまえさん」…密室と考えられる状況で殺人事件が起こり、謎解きの部分があるので、ミステリのカテゴリに入れてみましたが、この本の主眼はそこではありません。私が感じ取った主眼は女の怖さでしょう。どんなに聡明で雛人形のように美しく、人に親切のように見えても、一人の男のために何もかも投げ捨て、どんな悪事にも手を染め、人の気持ちを踏みにじることにもためらわない。怖いです。これが一人目の女性。 もう一人はなにもなさないようでいて、次々に頼られてくれる男性をきちんと得てしまう。本人が意識した行動ではないにも関わらず。こっちのほうも、というかこちらのほうが、同じ女性としては怖いです。敵ですね。 そのほかにも、身分違いの思いとは分かっていたもののいざ別の女性が現れるとがまんができなくなってしまうとか、頼りがいがあり落ち着いているようにふるまっていても難事があると卑しい底がわれてしまうとか、女性の怖さが存分に味わえました。 そのほかにも弓乃介の跡継ぎ問題とか、おでこの産みの母の出現とか、「ぼんくら」ファンには楽しめる要素満載でした。 それにしても、長すぎます。登場人物しかも女中レベルの簡単な名前の人物が多すぎて訳が分からなくなりました。この本の内容なら、6割くらいが私にはよかったです。それとタイトルの「おまえさん」がどう活きてくるか楽しみにしていましたが、肩透かしでした。要するに(宮部みゆきなので )期待した分、イマイチです。 評価 可
by susitaro522
| 2011-10-02 23:36
| ミステリ
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