白夜行/幻夜

e0014175_11213243.jpge0014175_11215058.jpg東野圭吾/集英社文庫/1000円/2012.4.28.読了
東野圭吾/集英社文庫/952円/2012.4.28.読了

 友人・Rと温泉旅行に行ったときに、話題になった本。「白夜行」の雪穂と「幻夜」の美冬が同一人物か別人なのか…。私は別人説。Rは同一人物説でした。「確かめて」と言われ、このぶ厚い2冊が送られてきましたよ。改めて読んでみて、同一人物と作者は設定している可能性が高いと思いました。
 根拠は「美冬の容貌に関して『アーモンド形の目』と言う描写がたびたび出てくる。この目の形は雪穂の特徴」「美冬は雅也に“セックスで射精しないこと”を求める。これは「白夜行」の桐原をなぞったもの。」など。
 時系列的には「白夜行」の後、店を拡張し“ホワイトナイト”という店舗で、雪穂と本物の美冬が働き、事業に失敗した雪穂が美冬とともに1年間外国で過ごす。帰国直後、神戸の美冬の実家に二人で訪ねたところ、阪神大震災に遭遇。というカンジでしょうか。美冬とその両親が地震で死亡したので、雪穂は過去を消して新しい人生を始めるために、美冬になり替わったという筋立てのように読み取れました。
 しかしながら、やっぱり私は雪穂と美冬が同一人物であることには違和感がぬぐえません。「幻夜」の美冬の初登場シーンでの印象で「20代」とありますが、雪穂ならばこの時は30台のはずです。美人は若く見えるので、20代でも通ると思いますがやはり変。それと、2人の性格が違いすぎるのです。「白夜行」の雪穂は確かにどんな汚い手を使っても目的を達成するのですが、それでもある意味高潔な人格を感じさせました。もちろん実行犯である桐原がいるので、自分は手を汚さなくてすんだのかもしれませんが。「幻夜」の美冬は身体を使って男性を籠絡することが多いこと、外見的な美に対する執着が強いこと。この2つが雪穂のキャラクターじゃないと感じるのです。それと、美冬は関西弁を使うところにも、違和感があります。大阪出身なのに幼いころから意図的に標準語を使い続けた雪穂が、相手に気を許させるという意図があるにせよ、関西弁を使うとは思えません。もしこの2人が同一人物としたら、桐原を失った雪穂の人格が崩壊し、別人格になったと解釈せざるを得ません。
 初読の時も、2人のキャラクターの違いから、「雪穂の店に勤めていた店員が、雪穂にあこがれて、外見も生き方もコピーしようとした。それが美冬」と解釈しました。なので、私にとって美冬は「雪穂のコピー・劣化版」です。
 この問題は、Rと私以外の読者も疑問のようです。ネットでも議論になっていました。作者は「読者(の解釈)に任せる」というスタンスのようですね。
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by susitaro522 | 2012-04-28 10:57 | ミステリ
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