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沈黙の画布

沈黙の画布_e0014175_12304685.jpg篠田節子/新潮文庫/840円/2012.8.9.読了

 大手出版社に勤める主人公は有名エッセイストに取り上げられた物故した画家に惹きつけられる。かつて美術雑誌の編集に携わっていた彼は、一生日の目を浴びず、市井の人々を描いた画家を取り上げようと、新潟の地に向かうのだが…。
 美術誌の編集者としての過去の栄光にしがみつく主人公。
 絵を買うことで画家を支えた地方の小金持ちたち。
 生家を捨て画家と結婚。彼を支え続けた妻。
などなど、人間の業が存分に描かれた1冊でした。自分の見ていないところで描かれた絵は「贋作」と言い切る妻がポイントです。その妻が著作権を握っているので、いろいろとままならない…という編集者の苦労が、個人的には興味深かったです。
 なんとなく、ストーリーが散漫な印象を受けましたが、細部の迫力はさすが篠田節子。

評価 良
by susitaro522 | 2012-08-09 05:13
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