岩村暢子/新潮文庫/840円/2012.10.2.読了
30~40代の主婦に1週間分の食事の写真を撮ってもらい、それと前後のインタビューを組み合わせて、日本の食卓事情を分析する「食ドライブ」。その最新刊です。 私が一番最初に読んだ、この著者の本「普通の家族がいちばん怖い」。この本を読んだ人たちが、「あれからどうなりましたか?」と尋ねてくることが、本書となっています。つまり、継続してきた調査結果、後日談ってことですね。前著と比較し、写真がたくさん掲載されています。 で、どうかっていうと「普通の家族がいちばん怖い」も十分怖かったですが、数年後の結果はさらに怖いことになっています。なにが怖いかって言うと… 子どもが嫌がるものは一切食卓に出さない。子どももキライな食材が入っているだけで皿ごと拒否。 ラーメンにも焼きそばにも具は入れない。理由は「そのものの味を楽しむため」? 食器を洗わなくてすむよう最大限の努力をする。たとえば味噌汁の回し飲みとか。 家族のメンバーはそれそれ異なる時間に異なるものを食べる。それが10才以下の子どもでも。離乳食のときからそういう状況。 母親はテーブルの一角に菓子パンやスナック菓子などを置いておき、子どもはそこから好きなものを取っていく。なければ冷蔵庫を漁るかコンビニへ。親だけが食事らしい食事を取る時も。もちろんこれも10才以下。 調査前のインタビューでは「手作りで」「野菜をたくさん」と述べる母親たち。調査後は「つかれることはしたくないので」と説明。その矛盾に気づかない。 箸を使うことを躾けず、ずっとスプーンや躾箸のまま。箸の使い方や野菜嫌いは「幼稚園や学校でなんとかしてくれるはず…」。 もう、ひーっ!ってカンジです。特に、皿に盛った菓子パンやスナック菓子をてんでに食べていくという現実。著者はこれを「餌場」と名付けています。社会的動物である人間が、社会性を徐々に失いつつあります。ううっ、日本は滅びるに違いありません。恐ろしすぎて読み返せない1冊です。 評価 優
by susitaro522
| 2012-10-02 20:30
| ノンフィクション
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