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カッコウの卵は誰のもの

東野圭吾/光文社文庫/648円/2013.2.20.読了

 “カッコウの卵”と言えば、「託卵」ですね。別な種類の鳥の巣に卵をうみつけ、育てさせるアレ。というわけで、かつてのトップスキーヤー・緋田宏昌は娘・風美のスキーヤーとしての成長を暖かく見守っている。幼いころに母親が自殺し、男手ひとつで育ててきた親子のきずなは固い…ようですが、そこには秘密がありました。タイトルが示すように、風美は宏昌の子どもではなく、自殺した妻がどこからか誘拐してきた赤ん坊だったのです。妻が遺した新聞記事から、実の両親と思われる夫婦を知っていたが真相を明らかにすることができず、長年思い悩んでいた宏昌。しかし、実の父親と考えていた人物がコンタクトを取ってくる。さらに、その男性が風美が乗るはずだったバスの事故に巻き込まれ、意識不明に…。
 スキー選手そして遺伝子…なんだか初期の東野圭吾を読んでいるようでした(クオリティが低いという意味でなく)。タイトルの「カッコウの卵」が、冒頭に書いた意味以外にも使われているところがテーマの深さを感じました。そのテーマ(自分が持っている才能は、天から預けられた“カッコウの卵”のようなもの)を、強調するためか、もうひとりの主人公とも言える少年が登場しますが、この少年の存在はちょっと不要だったかなーってカンジでした。それと、「犯人はきっとこのヒト!」と思っていたら、見事に外れました。真犯人とされた人の動機が弱いし、能力的・状況的に実行不可能だと思います。

評価 良
by susitaro522 | 2013-02-20 19:59 | ミステリ
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