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天使のナイフ

天使のナイフ_e0014175_1985377.jpg薬丸 岳/講談社/1600円/2006.1.16.読了

 突然、妻を殺された桧山貴志が主人公。犯人はすぐに捕まるが、13歳の少年3人だったため、法の裁きを受けず、被害者に謝罪もなく、何も知らされなかった。残された子どもと日々を過ごす桧山だったが、3年後加害者の少年の1人が桧山の職場近くの公園で殺されるという事件が起こる。3年前の加害者の少年たちが自らの犯罪を本当に悔いているか、どうしても知りたい桧山は少年たちの行方を追い始めるのだか…。
 少年法って、立場の違いによって見方が違いますよね。少年には可塑性があり、またその行為は環境に依るものが多いので、罪を裁くより矯正、社会復帰を目指すべきだ…と言われれば納得してしまうし、被害者の立場からすれば被害にあったのに加害者にはペナルティが負わされないのは理不尽だし。なにより罪を贖わないのは本当に更生になるのか…とか。結論が出ないので、小説で取り上げられるともやもやします。
 この本は、2005年度の江戸川乱歩賞受賞作です。大きな賞のタイトルを取った小説って、力が入っていたり準備を充分していたりして、読み応えがあるものがありますね。この本は、ラスト「過去に○○な人がこんなに集まるのって、できすぎじゃないの?」と思いましたが、読み応えはありました。次作に期待します。

評価 良
by susitaro522 | 2006-01-16 19:09 | ミステリ
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