米原万理/新潮文庫/514円/2007.7.22.読了
元ロシア語通訳の米原万理のエッセイ。 タイトルの「不実な美女か貞淑な醜女か」は通訳のこと。元発言に忠実でなくても翻訳が文として美しいか、文としてはぎこちなくても元発言に忠実か、どちらが良いかという意味です。実際には“貞淑な美女”“不実な美女”“貞淑な醜女”“不実な醜女”の合間を、過酷な時間的制約の中で揺れ動いているようです。 内容は、かなり本格的な通訳論でした。通訳としての能力は、発言者の言葉を忠実に聞き取るだけではなくて意図していることを瞬時に読み取ったり、2国間の文化の違いを埋めたり、文脈から推理したり、その他色々書いてありました。翻訳ソフトがいかに発達してもやっぱり人間には敵わないと思うと同時に、通訳と言うことだけではなく、同じ言語と用いる場合でも相手の言いたいことをいかに理解するかとも共通したことが書かれていると感じました。 この本のオビには、2匹の猫を抱く著者の写真が載っています。この猫は「ヒトのオスは飼わないの」に登場した道理とターニャ(ソーニャかも)ですね。 評価 良
by susitaro522
| 2007-07-22 09:04
| エッセイ
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