カテゴリ:ミステリ( 633 )

必然という名の偶然

西澤保彦/実業之日本社文庫/600円/2013.5月読了

 腕貫探偵の登場しない「腕貫探偵シリーズ」でした。
 架空の都市・櫃洗市を舞台にした連作短編集。クイーンのライツヴァルのような架空の都市を持つことはミステリ作家の夢なのでしょうか…。
 なにげない謎や疑問から、長年良く知っていると思っていたはずの意外な一面を知ってしまう…という、人間の自己本位さ、エキセントリックさを味わうことができる西澤保彦っぽい1冊でした。
 腕貫探偵シリーズ、続いてますねぇ。それよりも「タックとタカチ」か「チョーモンイン」を書いてほしいです。お願いです。

評価 良
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by susitaro522 | 2013-05-12 14:32 | ミステリ

金田一耕助VS明智小五郎

芦辺 拓/角川文庫/667円/2013.3.29.読了

 芦部拓によるパスティーシュ。短編集です。江戸川乱歩ファンも横溝正史ファンも根強いですね。最近、複数作家による競作も読んだばかりだし。
 この本はドラマ化もされるようで、見るのが楽しみです。明智小五郎を伊藤英明、金田一耕助を山Pが演じるとのこと。いつの放映?

評価 良
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by susitaro522 | 2013-03-29 11:11 | ミステリ

隻眼の少女

麻耶雄嵩/文春文庫/705円/2013.3.23.読了

 自殺を決意し、温泉のある山里の宿に身を寄せた主人公・種田静馬。彼は旧家を舞台にした連続殺人事件に巻き込まれる。謎を解決するのは、巫女の格好をした隻眼の少女探偵!
 一族の中の女性が代々神の使いとして村に君臨する…という大時代な設定。そこで起こる首切り殺人事件。自らを「探偵」と名乗る高飛車美少女。その名は「御陵みかげ」。という並べてみるとぶっとんだ設定でした。でも、読者を納得させる説明もちゃんと追加されているので、「ありえなーい」感はあんまりありません。
 名探偵のはずなのに、わりと間違いが多いみかげちゃん。そして、ラストは静馬の情けなさとみかげの非情さだけが印象に残りました。ミステリ部分は忘却…でも、本格好きにはたまらないかも。

評価 良
 
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by susitaro522 | 2013-03-23 21:11 | ミステリ

大絵画展

望月諒子/徳間文庫/648円/2013.3.12.読了

 ゴッホの「医師ガシェの肖像」をいう絵をめぐるコン・ゲーム小説。
 バブルのころにめちゃくちゃな値段で日本企業が名画を買いあさったということが下敷きになっています。う~ん、バブル。そんな時代もありましたね。肝心のコンゲームの部分はちょっと…ついていけなかったです。

評価 可
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by susitaro522 | 2013-03-12 13:07 | ミステリ

写楽 閉じた国の幻 下

島田荘司/新潮文庫/670円/2013.3.11.読了

 下巻です。写楽とはだれか…という謎に一気に迫っていきます。
 現代の日本人ならば、誰でも知っている浮世絵師・写楽。しかし、彼の正体はいまだに明らかにされていません。1年足らずのあいだに多量に浮世絵を作り、それが大評判。しかし、その前もその後も消息は不明。新人の写楽を、当時の大手出版社とも言えるつた屋が大々的に売り出したのも謎。という謎に満ちた浮世絵師であることは知られていません…?わたしは、高橋克彦の「写楽殺人事件」で知ったのですが、この謎には過去たくさんの人が挑み、たくさんの説が出ています。
 今回、島田荘司が写楽の謎に挑戦!というわけです。彼が、誰を写楽としたのはネタばれになるので書けませんが、なるほど~というカンジでした。作品に社会的な視点を絡める島田荘司らしい観点ですね。情けない男(主人公)と美女の現代と蔦屋視点の江戸時代が交互に描かれる構成も、作品に活力をもたらしています。
 久々に読みごたえのある島田荘司を読めて、大満足です。
 それにしても、回転ドアの裁判と主人公の離婚問題はどうなったのでしょう…。

評価 優
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by susitaro522 | 2013-03-11 12:30 | ミステリ

写楽 上

島田荘司/新潮文庫/670円/2013.3.9.読了

 「このミステリがすごい」第2位だそうです。久々ってカンジですねぇ~。島田荘司。
 目を離したすきに、回転ドアに挟まれて息子が亡くなってしまった男が主人公。もともと夫婦仲が悪くて、息子の死がきっかけでさらに険悪に…。この男の妻のエキセントリックぶりが延々と描写されます。っていうのは、おいといて、回転ドアの不備が死の原因になったということで、調査団が組まれ、そこにゲストで呼ばれた主人公が出会ったのは、美貌の大学教授。なにもかも失って、生きる望みもなくした男を支えているのは、写楽の謎。この謎を、彼女と解き始めた主人公だが…と言うカンジでしょうか。
 ダメダメ男と外国人の地を引いた美人の組み合わせって、島田荘司、好きですね~。この美貌の描写もすきですね~。
 この本で興味深かったのは、海外で考え出された回転ドアは本来事故が起きないようにアルミを使って軽く作られていたのが、日本の高層ビルで使われるときには、より堅牢により重くなり、それが事故の原因につながったというところです。現実の事件にヒントを得てミステリにするのが、得意な筆者ですが、後のことまできちんとフォローして書いているので、学ぶところが多いです。

評価 良
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by susitaro522 | 2013-03-09 00:39 | ミステリ

ぼくとユーレイの占いな日々

柴田よしき/創元推理文庫/680円/2013.2.25.読了

 柴田よしきの創元推理文庫なんて、めずらしー!
 主人公は就職できない大学生・石狩くん。就職活動のためにローンでスーツとパソコンを買い、そのローンのために過酷なバイトをする羽目に。疲労困憊した石狩くんの前に現われた厚化粧の女に、自分の境遇をズバリと当てられ、強引に再会の約束をさせられる…というわけで、その厚化粧の女・摩耶優麗(マヤユーレ)のもとでずるずると働くようになった石狩くんの日々が描かれるミステリでした。
 あ、ユーレは腕利き占い師です。占いの千里眼と見せかけて、実は観察と情報収集と推理のたまものってカンジですね~。ミステリ部分よりも、情けない男・石狩くんと高飛車・ユーレのやり取りがおもしろかったです。それと、おねぇ言葉だけど、敏腕なマネージャーのキャラがお気に入り。そして、もうひとつ気に入ったのが章タイトル。“時をかける熟女”“まぼろしのパンフレンド”“謎の転倒犬”“狙われた学割”“七セットふたたび”。若い人は分からないかもしれないけど、往年の名作SFのタイトルです。苦しいところがまたいとをかし。

評価 良
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by susitaro522 | 2013-02-25 03:41 | ミステリ

吉原暗黒譚

誉田哲也/文春文庫/590円/2013.2.21.読了

 誉田哲也の時代物…珍しいですね。
 主人公は吉原が配属先の同心・今村圭吾。花魁ばかりを狙う連続殺人事件が起こり、犯人は黒い狐の面を着けている。殺された花魁は、お金で借りるシステムを作り出したあくどい商人に雇われている女たちばかり。この商人に話をつけ、ほうびの金を目当てに、犯人を追うことにした今村だが…という、江戸時代を舞台にしたミステリです。時代物にすると、科学捜査や組織捜査が出てこないので、ある意味純粋にミステリの要素が楽しめる気がします。
 サイコミステリの要素もあり、江戸時代という社会のシステムを絡めているところもあり、いろんな切り口から楽しめる1冊でしたが、吉原暗黒譚というタイトル通り、吉原と言う一見華やかな世界のダークな一面がいちばん楽しめました。主人公がこだわっている“粋”にこだわるなんて…というところがよかったかな~。
 それにしても、ラストは余韻があるっていうか、どうなったのか気になります。

評価 良
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by susitaro522 | 2013-02-21 18:06 | ミステリ

カッコウの卵は誰のもの

東野圭吾/光文社文庫/648円/2013.2.20.読了

 “カッコウの卵”と言えば、「託卵」ですね。別な種類の鳥の巣に卵をうみつけ、育てさせるアレ。というわけで、かつてのトップスキーヤー・緋田宏昌は娘・風美のスキーヤーとしての成長を暖かく見守っている。幼いころに母親が自殺し、男手ひとつで育ててきた親子のきずなは固い…ようですが、そこには秘密がありました。タイトルが示すように、風美は宏昌の子どもではなく、自殺した妻がどこからか誘拐してきた赤ん坊だったのです。妻が遺した新聞記事から、実の両親と思われる夫婦を知っていたが真相を明らかにすることができず、長年思い悩んでいた宏昌。しかし、実の父親と考えていた人物がコンタクトを取ってくる。さらに、その男性が風美が乗るはずだったバスの事故に巻き込まれ、意識不明に…。
 スキー選手そして遺伝子…なんだか初期の東野圭吾を読んでいるようでした(クオリティが低いという意味でなく)。タイトルの「カッコウの卵」が、冒頭に書いた意味以外にも使われているところがテーマの深さを感じました。そのテーマ(自分が持っている才能は、天から預けられた“カッコウの卵”のようなもの)を、強調するためか、もうひとりの主人公とも言える少年が登場しますが、この少年の存在はちょっと不要だったかなーってカンジでした。それと、「犯人はきっとこのヒト!」と思っていたら、見事に外れました。真犯人とされた人の動機が弱いし、能力的・状況的に実行不可能だと思います。

評価 良
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by susitaro522 | 2013-02-20 19:59 | ミステリ

金田一耕助に捧ぐ九つの狂想曲

赤川次郎、有栖川有栖、小川勝己、北森 鴻、京極夏彦、栗本 薫、柴田よしき、菅 浩江、服部まゆみ/角川文庫/667円/2012.12.29.読了

 現代のミステリ作家たちが横溝正史の「金田一耕助」をオマージュした短編集。
 神田で立ちくらみをした小説家の“わたし”に話しかけてきた男性の正体は?…(京極夏彦)とか。
 推理小説好きの少年が仲よしになった売れない小説家“キンダイチ先生”…(有栖川有栖)とか。
 民俗学を学ぶ“近田一”という男と知り合って…(北森鴻)とか。
 ストレートに金田一耕助ものを書くのではなく、ひとひねりしたカンジが多かったです。
 それにしても、横溝正史ってミステリ作家にも愛されているのですね。

評価 良
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by susitaro522 | 2012-12-29 19:37 | ミステリ