カテゴリ:児童文学( 23 )

つきのふね

e0014175_0144514.jpg森 絵都/角川文庫/438円/2010.7.19.読了

 夏になると各出版社がお勧め本のフェアをやりますね。「つきのふね」は角川文庫のお勧め本です。森絵都は「カラフル」が映画化され、今注目の作家のようです。この「つきのふね」は野間児童文芸賞受賞作。
 主人公は中学生の少女・さくら。親友と仲たがいし、その子が変わっていってしまうのを心を痛めながらもなにもできず…。心のよりどころである青年が精神の均衡を狂わせていくことにも手をこまねいている…。万引き、組織売春、統合失調症…ハードなアイテムが並んでいます。この状況はどうなっていくのか。親友との心の絆は回復できるのか…。
 本の裏表紙の紹介には「奇跡のような傑作長編」とありましたが、そうでもないかなってカンジでした。一応カテゴリーは「児童文学」。でも、いい話は年齢は関係ないと思うので、これはストーリー展開としてはイマイチってカンジでした。さくらと親友に付きまとい、勝手に「おれたち三人トリオだよな」と主張するストーカーちっくな男の子・勝田くんと統合失調症の青年・智さんのおじさんのキャラがよかったです。

評価 良
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by susitaro522 | 2010-07-19 10:27 | 児童文学

ごきげんな裏階段

e0014175_10463970.jpg佐藤多佳子/新潮文庫/362円/2009.11.6.読了

 「しゃべれども、しゃべれども」「一瞬の風になれ」の佐藤多佳子の初期短編集。童話です。
 ある団地の裏階段に出没するモノ。それは玉ねぎを食べて玉ねぎになっていく子猫だったり、笛を吹く(そして偉そうに命令する)クモだったり、煙が大好物のお化けだったり…。そんな不思議なモノと子どもたちの出会いを描いた作品が3つ収録されています。現実世界にないものと出会ってからがファンタジー…子どもたちやその親の反応が現実的で、本当にありそうなお話でした。解説にあるように、「出会ってからどのように友達になっていくか」がきちんと描かれていると思います。でも、個人的には物足りないです。日本のファンタジーと言えば、やっぱり佐藤さとるが一番!なのです。

評価 可
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by susitaro522 | 2009-11-06 21:15 | 児童文学

ジム・ボタンと13人の海賊

e0014175_2326563.jpgミヒャエル・エンデ/岩波書店/2900円/2007.8.6.読了

 「ジム・ボタンの機関車大冒険」の続編です。姫を救出し、フクラム国にも帰還。姫と婚約したジム・ボタン。フクラム国に灯台を作るため、再び旅立ちます。
 竜の予言が出てきたり、海底に住む人々が出てきたり、機関車を飛ばす永久機関が出てきたり、そして、海賊とも戦い、ジム・ボタンの出自が明らかにされる…大冒険です。ラストは、海底から古代の国が復活し、様々な国の人々、さまざまな生き物が仲良く暮らすという大団円です。
 勇気があり危機を切り抜ける力を持ったジム・ボタンの弱点は勉強嫌い。字を読むこともできず、婚約者のリーシー姫(リーシー姫は勉強できます)ともけんかしてしまいます。勉強へのこだわりは、この本の1つの読みどころであり、ちょっと不思議なところでした。苦境を切り抜ける知恵と勇気だけではなく、字を読んだり計算したりすることも必要だと、エンデが書いているように感じました。
 
評価 良
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by susitaro522 | 2007-08-06 22:21 | 児童文学

ジム・ボタンの機関車大旅行

e0014175_23255046.jpgミヒャエル・エンデ/岩波書店/2900円/2007.8.5.読了

 「モモ」や「果てしない物語」で有名なミヒャエル・エンデの全集を図書館で見つけました。「ジム・ボタン」は全集の1巻です。
 海に浮かぶ小さな島「フクラム国」に、機関士ルーカス、機関車のエマ、アルフォンス十二時十五分前国王、ソデワキ氏とナーニという人々が住んでいました。そこへ、赤ん坊が入った小包みが届けられました。赤ん坊は、ジム・ボタンと名づけられ大切に育てられていましたが、「国が小さいのに、人が多くなりすぎた」というアルフォンス十二時十五分前王の命令で、誰が一人が国を出なくてはならなくなったのです…。
 フクラム国を、機関車のエマに乗って飛び出したジムとルーカスが、行方不明になった姫を探すという冒険ファンタジーです。ファンタジーなのですが、なぜかリアリティーがあります。

評価 良
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by susitaro522 | 2007-08-05 22:28 | 児童文学

闇の守り人

e0014175_0101492.jpg上橋菜穂子/新潮文庫/620円/2007.7.4.読了

 「精霊の守り人」の続編です。25年ぶりに故郷に帰った女用心棒バルサ。脅迫されて先王の暗殺を強いられ、殺された父親とその父の親友で幼いバルサを連れて故郷を脱出し、汚名を着せられたままの養父・ジグロ。故郷に帰ったパルサを待っていたのは、ジグロの弟の専横としきたりを踏みにじり宝を手に入れようとするたくらみであった…。
 解説にも書いてあるように「精霊の守り人」と比較すると、大人っぼいです。洞窟の中で神々と対峙するクライマックスは深いテーマを感じさせるもので、イギリスの上質なファンタジーと相通じるものがありました。

評価 良
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by susitaro522 | 2007-07-04 21:54 | 児童文学

狐笛のかなた

e0014175_14295818.jpg上橋菜穂子/新潮文庫/590円/2007.6.7.読了

 戦乱の世を舞台にしたファンタジー。
 産婆の祖母と2人暮らしの小夜は傷ついた子狐を助ける、そして、村はずれにある森陰屋敷にひっそりと育てられている少年と出会い、互いの孤独な境遇の中惹かれあう。そして数年後、小夜は母親から受け継がれた能力を開花、二つの国の争いの中に巻き込まれていく。小夜を救うのは、かつて命を助けた子狐・野火だが、彼の正体は黒幕に運命を握られ、意のままに人を襲う霊狐であった・・・。
 「精霊の守り人」の上橋菜穂子のファンタジーです。野間児童文学受賞作だそうです。う~ん、まあまあ?

評価 良
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by susitaro522 | 2007-06-07 22:29 | 児童文学

精霊の守り人

e0014175_19273292.jpg上橋菜穂子/新潮文庫/552円/2007.4.14.読了

 用心棒を生業とするバルサは、川に流されている皇子チャグムを救出する。皇子チャグムは新ヨゴ皇国の第二皇子で、最近奇異な出来事が身辺で続き、生命を狙われているよう。皇子の母親から、チャグムを託され、ともに旅に出たバルサだが、チャグムの秘密はそれだけではなかった…。
 著者は、児童文学の領域で各種の賞を受賞しているようです。この本は、中に入っていた新刊のお知らせを見て、読んでみたくなりました。アニメかもされているようです(NHK-BS2で放映中)。緻密な世界観と魅力ある登場人物、そして話の続きを期待させるなかなかおもしろい1冊でした。固有名詞の響きがハングルっぽいです。

評価 良
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by susitaro522 | 2007-04-14 19:28 | 児童文学

ゲド戦記1 影との戦い

e0014175_213962.jpgル・グィン/岩波書店/1000円/2007.3.12.読了

 ジブリで映画化された「ゲド戦記」の原作です。読むのは20年ぶりくらい。
 貧しい村で生まれたハイタカは幼くしてまじないに才能を現し、村の危機を救う。そして、偉大な魔法使いオシジンの弟子となるが、物静かな師匠の人柄に惹かれつつも、期待していたような華やかな魔法を使うことは禁じられ不満を感じていた。ローク島の魔法を修める学院にいくことになったハイタカは、めきめき頭角を現すが、そこでもつまらない虚栄心から死者を呼び出す魔法を使ってしまい、世界を滅ぼす危険をはらんだ影を解き放ってしまう。心身ともに傷をおったハイタカだか・・・。
 ↑ で、出てくるハイタカが主人公のゲドです。この小説の中では、ものや人には本当の名前があり、それを知るものはそのものを支配できるという世界観となっています。ハイタカは子どものときはダニーという名前で、成人のときにその名前を失い、師匠アシジンからゲドという名前を授けられます。魔法を学ぶという中にも、ものの名前をひたすら覚えるという記述があります。
 河合隼雄の本を読むと、この本はユング心理学の視点で捉えることができるそうです。ゲドが解き放った影は、ユングの原型論のまさしく影ですね。久しぶりに読み返してみると、ゲドが影を解き放つきっかけとなったヒスイに興味を惹かれました。人を見下すセレブなヒスイはいやなやつかもしれないけど、ゲドの態度も悪いと思います。理由は自覚できないけど、虫が好かない・・・それが影なんでしょうけど。
 象徴的な意味を探ろうとばかりして、ストーリー自体を楽しむことができませんでした。ダメですね。

評価 良
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by susitaro522 | 2007-03-12 21:39 | 児童文学

ムーミン谷の夏まつり

e0014175_16151619.jpgトーベ・ヤンソン/講談社/1600円/2007.3.10.読了

 ムーミン谷を洪水が襲い、流されてきた大きな家にムーミン一家は避難します。一風変わった家と思われたそこは大きな舞台でした。そして、そこに住み着いていたのは1人のエンマ・・・。
 ムーミン一家って、基本的にはムーミンパパとムーミンママとムーミントロールだと思うのですが、伸縮自在です。この巻では、スノークのお嬢さん(お兄さんは出てきません)、ミムラねえさんと小さなミイが同居しているようです。小さなスニフはどこに行ってしまったのでしょう…。
 「夏祭り」は挿絵がとても素敵でした。さすらいの旅をしているスナフキンと小さなミイが出会う場面の挿絵は、ムーミンママの裁縫籠に乗って川を流されているうちに眠ってしまったミイを覗き込むスナフキンの図柄です。ミイとスナフキンは叔母・甥の関係なのですが、コレが初対面。また、ふとしたことで24人の子どもの面倒を見ることになったスナフキンと子どもたちが一緒に走っている挿絵もかわいかったです。

評価 良
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by susitaro522 | 2007-03-10 18:02 | 児童文学

プークが丘の妖精パック

e0014175_20225261.jpgキプリング/光文社文庫/667円/2007.3.3.読了

 光文社から「古典新訳文庫」というのが発刊されているのですね。キプリングという名前が懐かしくて、手に取りました。
 ダンとニーナの兄妹が丘の上で「真夏の夜の夢」を演じていると、不思議な小さな生き物に出会う。肩幅が広く、耳はとんがり、鼻はシシ鼻で多い目、そばかすだらけの顔を笑いでいっぱいにしたその生き物は、パックと名乗り、この丘に何百年も住んでいるという…。
 パックが連れてくる古の人々の語るイギリスの歴史が興味深い…と書きたいところですが、知識がないので理解できず。さまざまな民族・人種が領土を争って、戦いを繰り広げていたということは分かりました。「指輪物語」を連想しました。あとピクト人が登場したので「アーサーランサム全集」も。

評価 可
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by susitaro522 | 2007-03-03 19:21 | 児童文学