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トッカン

高殿 円/ハヤカワ文庫/760円/2013.2.28.読了

 ドラマ化された「トッカン」の続編です。内容はドラマのラストの話でした。
 税金を滞納していた食堂の店主が自殺。残されていた文書には、トッカン・鏡に恫喝され、追いつめられたという内容が!残された妻と税務署の天敵・勤労商工会の弁護士を相手に、ヒロイン・ぐ―子と鏡の級友の弁護士の活躍が始まる…というストーリーです。
 前作は連作短編集ってカンジで、税金を滞納する人たち(悪質な人もいるし、やむにやまれずという人もいますが)と新米税務署員・ぐ―子の関わりを通して、税務署で働く人のお仕事が勉強できました。今回は案件はひとつだし、税金の滞納自体にはあんまり焦点が当てられず、鏡が死の原因を作ったのか否か、がメインになっていたので、ミステリってカンジで読めました。
 そういうミステリとしての読み方もあるし、正義の味方を気取る弁護士のキャラを楽しむのもありだし、ぐ―子と鏡の関係の変化も読み取れるし、鏡の過去もだんだん明らかになるし・・・で、いろいろ詰まっていました。でも、一番心に残ったのは、女性が働くには(仕事の)スキマを探さないといけないというところです。

評価 良
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by susitaro522 | 2013-02-28 23:04

ぼくとユーレイの占いな日々

柴田よしき/創元推理文庫/680円/2013.2.25.読了

 柴田よしきの創元推理文庫なんて、めずらしー!
 主人公は就職できない大学生・石狩くん。就職活動のためにローンでスーツとパソコンを買い、そのローンのために過酷なバイトをする羽目に。疲労困憊した石狩くんの前に現われた厚化粧の女に、自分の境遇をズバリと当てられ、強引に再会の約束をさせられる…というわけで、その厚化粧の女・摩耶優麗(マヤユーレ)のもとでずるずると働くようになった石狩くんの日々が描かれるミステリでした。
 あ、ユーレは腕利き占い師です。占いの千里眼と見せかけて、実は観察と情報収集と推理のたまものってカンジですね~。ミステリ部分よりも、情けない男・石狩くんと高飛車・ユーレのやり取りがおもしろかったです。それと、おねぇ言葉だけど、敏腕なマネージャーのキャラがお気に入り。そして、もうひとつ気に入ったのが章タイトル。“時をかける熟女”“まぼろしのパンフレンド”“謎の転倒犬”“狙われた学割”“七セットふたたび”。若い人は分からないかもしれないけど、往年の名作SFのタイトルです。苦しいところがまたいとをかし。

評価 良
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by susitaro522 | 2013-02-25 03:41 | ミステリ

リミット

五十嵐貴久/祥伝社文庫/667円/2013.2.22.読了

 ラジオの深夜放送に届いた1通のメール。「番組が終了したら、死のうと思います」とという自殺予告を止めようと、パーソナリティとリスナーは走りはじめる…なんて言って、最初にがんばるのはディレクターの男性なんですけどね。予告メールを番組で取り上げるにあたって、ラジオ局の偉い人たちは反対。パーソナリティのカリスマタレントも“自分のキャラじゃない”と拒否されてしまうのです。なかば強引に、そして戦略的にパーソナリティを巻き込んだディレクター。みずからの首を掛けた自殺防止は実現するのか!?
 放送時間というリミットのなかで、メールを送った人間を特定し、捕まえる…というサスペンスフルなストーリーでしたが、なんといってもテレビにはないリスナーとの一体感を描きたかったのでは、と感じました。高校生の時、お世話になりましたよ、深夜放送。
 パーソナリティのカリスマ芸人のモデルを想像する…というお楽しみもある1冊です。

評価 良
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by susitaro522 | 2013-02-22 01:59

吉原暗黒譚

誉田哲也/文春文庫/590円/2013.2.21.読了

 誉田哲也の時代物…珍しいですね。
 主人公は吉原が配属先の同心・今村圭吾。花魁ばかりを狙う連続殺人事件が起こり、犯人は黒い狐の面を着けている。殺された花魁は、お金で借りるシステムを作り出したあくどい商人に雇われている女たちばかり。この商人に話をつけ、ほうびの金を目当てに、犯人を追うことにした今村だが…という、江戸時代を舞台にしたミステリです。時代物にすると、科学捜査や組織捜査が出てこないので、ある意味純粋にミステリの要素が楽しめる気がします。
 サイコミステリの要素もあり、江戸時代という社会のシステムを絡めているところもあり、いろんな切り口から楽しめる1冊でしたが、吉原暗黒譚というタイトル通り、吉原と言う一見華やかな世界のダークな一面がいちばん楽しめました。主人公がこだわっている“粋”にこだわるなんて…というところがよかったかな~。
 それにしても、ラストは余韻があるっていうか、どうなったのか気になります。

評価 良
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by susitaro522 | 2013-02-21 18:06 | ミステリ

カッコウの卵は誰のもの

東野圭吾/光文社文庫/648円/2013.2.20.読了

 “カッコウの卵”と言えば、「託卵」ですね。別な種類の鳥の巣に卵をうみつけ、育てさせるアレ。というわけで、かつてのトップスキーヤー・緋田宏昌は娘・風美のスキーヤーとしての成長を暖かく見守っている。幼いころに母親が自殺し、男手ひとつで育ててきた親子のきずなは固い…ようですが、そこには秘密がありました。タイトルが示すように、風美は宏昌の子どもではなく、自殺した妻がどこからか誘拐してきた赤ん坊だったのです。妻が遺した新聞記事から、実の両親と思われる夫婦を知っていたが真相を明らかにすることができず、長年思い悩んでいた宏昌。しかし、実の父親と考えていた人物がコンタクトを取ってくる。さらに、その男性が風美が乗るはずだったバスの事故に巻き込まれ、意識不明に…。
 スキー選手そして遺伝子…なんだか初期の東野圭吾を読んでいるようでした(クオリティが低いという意味でなく)。タイトルの「カッコウの卵」が、冒頭に書いた意味以外にも使われているところがテーマの深さを感じました。そのテーマ(自分が持っている才能は、天から預けられた“カッコウの卵”のようなもの)を、強調するためか、もうひとりの主人公とも言える少年が登場しますが、この少年の存在はちょっと不要だったかなーってカンジでした。それと、「犯人はきっとこのヒト!」と思っていたら、見事に外れました。真犯人とされた人の動機が弱いし、能力的・状況的に実行不可能だと思います。

評価 良
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by susitaro522 | 2013-02-20 19:59 | ミステリ

自白

乃南アサ/文春文庫/543円/2013.2.15.読了

 警視庁捜査一課の名刑事・土門功太朗が出会った事件を描いた連作短編集。舞台が昭和なので、“ノスタルジー刑事小説”となってました。うう、すごいセンスです。
 なんか「これで終わり?」という話が多くて、ミステリと思って読んだので肩透かしでした。名刑事と犯人の丁々発止のやり取りをじっくり読ませるというふうでもないし、どう楽しめば良いのか謎の本です。

評価 可
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by susitaro522 | 2013-02-15 00:53

公安捜査員 柳原明日香

黒崎視音/徳間文庫/590円/2013.2.3.読了

 黒崎視音。以前読んでおもしろかった記憶があったので、買いました。「警視庁心理捜査官」の登場人物を主人公・柳原明日香に据えた話のようですが、まったく記憶がない…でも、読みます!
 公安のホープ・柳原明日香は「公一の女狐」とあだ名がつくほど、捜査能力に優れていた。しかし、情事のありさまを録音したテープが何者かの手によって上司に送りつけられ、あっけなく左遷。周囲のさげすみに満ちた視線の中、新たな捜査に乗り出すのだが…。
 警察の中でも、公安は謎に満ちた部署ですね。社会治安を守るとか警察内部の犯罪を捜査するとか、警察の中でも秘密な活動をしている部署?その方法も非合法すれすれ?とか、あらぬ想像をしてしまいます。この小説では、ヒロイン・柳原明日香が公安刑事としての使命に目覚め、卓越した能力で捜査活動をしていくというストーリーの中で、公安について理解することができました。でも、やっぱり怖そうなイメージです…。
 表紙のイラストは、本を読んだあとのヒロインのイメージと全然違います。胸、はだけすぎ!

評価 良
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by susitaro522 | 2013-02-03 18:17

ダッシュ!

五十嵐貴久/双葉文庫/695円/2013.2.3.読了

 高校生男子4人が敬愛する先輩“ねーさん”のために力を尽くす話。“ねーさん”は高校3年生で、卓越した陸上の才能と美貌そしてさっぱりした気性で、後輩男子のハートをわしづかみ…という背景があり、骨肉腫で脚を切断することになった“ねーさん”のもとにせっせとお見舞いに通ったり、“ねーさん”の元彼を探しまくったりする話でした。
 元彼がサーファンの修業のために海外を転々としていて音信不通なので、探しまくるところと、元彼と“ねーさん”を再開させようとする彼らの活躍が読みどころ。ですが、う~ん、ふつう?あんまりスカッとしたカタルシスは得られなかったです。

評価 良
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by susitaro522 | 2013-02-03 18:15