新世界より 下

e0014175_9554667.jpg貴志祐介/講談社文庫/790円/2012.10.11.読了

 いよいよ下巻です。
 話は一気に飛んで、主人公は大人になっています。
 で、人間には絶対服従のはずのバケネズミ。その一派が反逆を始めます。しかも、その武器は主人公のかつての親友同士に生まれた子ども。バケネズミを育てれらた子どもは強大な“呪力”を持ち、それを人間たちに向けてきます。これに対抗すべく、主人公たちは1匹のバケネズミとともに廃墟となった東京に、武器を探死に行きます。
 クライマックスで明らかにされるこの作品の世界観がすごいです。ネタばれになってしまいますが、「猿の惑星」を彷彿とさせます。解説に、この物語は貴志祐介がデビューのころ書いた短編をベースにしている、とありましたが、このイマジネーションとそれを支える構成力はすごいですね。
 …ところで、アニメですが、オビを見る限り絵のカンジがイメージと違いますね~。主人公たちの図柄がかわいらしすぎ、目が大きすぎ、です。でも、下巻のオビに書かれているバケネズミ2匹と思いますが、たてがみのあるほうが主人公たちと行動を共にする奇狼丸ですよね。たぶん。これはけっこうカッコいいです。本だけでは人間以外の生きもののビジュアルがイメージできなかったので、とりあえず録画はしてみるつもり。
 タイトルの「新世界より」。物語の中で、この音楽が流れてくるシーンが印象的なのです。タイトル、ステキです。

評価 良
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# by susitaro522 | 2012-10-11 11:30

新世界より 中

e0014175_955664.jpg貴志祐介/講談社文庫/676円/2012.10.10.読了

 中巻です。上巻とは違う書店で買ったら、帯が違ってしまいました…。深夜にアニメがするそうですよ。
 この世界のもう一つの特徴はバケネズミ。アリやハチのような集団生活を営み、集団同士では戦うけれど、人間には絶対服従…というか、人間が“呪力”でバケネズミを支配しています。このビジュアルもイメージできず、ネズミの巨大化したものというだけではなさそうです。しかも、バリエーションがある!?
 この物語には約束事が多く、綿密な世界観の元作品が構築されています。中間では、主人公の友人の少年が“呪力”を暴走させ、“悪鬼”となり果ててしまいます。現代ならば、遺伝子異常として取り扱われるものが、“呪力”の関与により、一つの村を破滅させるまでの存在となり、恐怖の伝説となります。
 複雑な物語ですねぇ。
 暴走する“呪力”。人が“呪力”を持つことで、互いに攻撃し合わないように、過去からの知恵が結集されています。そのひとつは他者に危害を加えると、代謝異常を起こし、体調が悪くなり、最悪自分も死に至るという機構。そして、もうひとつは性別に限らず性的な接触をすること。霊長類のボノボに倣った行動。アニメ化が困難な理由はここにもあるのかと思ったけれど、この辺のシーンはあんまり書かれていませんでした。

評価 良
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# by susitaro522 | 2012-10-10 21:04

新世界より

e0014175_9543837.jpg貴志祐介/講談社文庫/724円/2012.10.9.読了

 貴志祐介です。全3巻でヴォりームがあるので、読むのに躊躇していましたが、「ダークゾーン」も「クリムゾンの迷宮」もおもしろかったので、チャレンジ。
 設定は遠い未来。なのですが、舞台は村っぽいカンジです。関東、霞ヶ浦の近くの神栖66町で生まれ育った少年少女たちが成長する姿を追いながら、独特な世界観が展開していきます。
 この世界では、人間は思春期になると“呪力”を発現します。呪力とはつまり、PK(念動力)のことですね。これがこの作品の大きな特徴なのですが、それにもましてこの社会を支えるのが、独特な教育システム。このシステムを主人公の少女の眼を通して丹念に描いています。
 グループで学習を進めていくのに、いつの間にかメンバーが脱落していき、そのことが意識にも上らなくなるという支配の仕方が恐怖でした。
 上巻には、主人公たちが移動式図書館からこの社会の成り立ちを知る!というインパクトのある場面もあったのですが、ウミウシみたいな外見の移動式図書館ってぃうのが、どうにもイメージできず…。

評価 良
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# by susitaro522 | 2012-10-09 21:34

クリムゾンの迷宮

e0014175_9541239.jpg貴志祐介/角川ホラー文庫/667円/2012.10.9.読了

 「ダークゾーン」を読んで、貴志祐介ってこんなのも書くのか!?と思ったら、こんなのも書いてました。初期の作品です。
 怪しげな仕事に応募した男・藤木芳彦が意識を取り戻したのは、見たこともない景色だった。そこで、彼に命じられたのは、ゲームをリアルな世界で行うことだった!
 傍らに置かれたゲーム機の指示に従い、他の仲間と話し合い、ペアを組んで行動を開始した主人公。徐々に恐ろしい世界に引きずり込まれていきます。異常な世界をリアルに描き、人の醜さも容赦なく暴きたてていきます。怖い1冊でした。「ダークゾーン」「悪の教典」の原典となる作品でした。そして、「新世界より」とも、世界観がつながっているように感じます。

評価 良
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# by susitaro522 | 2012-10-09 01:21

雨柳堂夢咄 其ノ八

e0014175_2253314.jpg波津彬子/ソノラマコミックス/590円/2012.10.8.読了
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# by susitaro522 | 2012-10-08 18:00 | マンガ

主よ、永遠の休息を

e0014175_2245914.jpg誉田哲也/実業之日本社文庫/648円/2012.10.7.読了

 通信社の記者・鶴田吉郎は、コンビニ強盗の現場に偶然いあわせ、スクープをものにする。そして、そのコンビニの女性店員と知り合いになる。事件に居合わせた男性から、暴力団事務所の襲撃事件の情報を聞かされた鶴田は、その事務所を張り始めるが…。
 この暴力団事務所がアダルトサイトを運営していて、そこに幼女のレイプ動画がアップされている。その動画が過去にあった事件の現場らしい…というところから、事件は急展開。読んでいて痛々しくなるような話が怒涛のように描かれます。現実にあった事件に着想を得たであろう作品ですが、犯人の異常性、被害者のやるせない怒り…こういう作品を書かざるを得ない小説家の業って、すごいですね。
 ということとは別に、主人公の職業である通信社の記者っていうのが、気になります。共同通信ってよく聞きますが、新聞社とは違うんですよね。記事を売るのかしらん。よくわかりません。

評価 良
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# by susitaro522 | 2012-10-07 11:42

まいなす

e0014175_2241673.jpg太田忠司/PHP文芸文庫/762円/2012.10.6.読了

 主人公は超しっかりした14歳の女の子。名前は那須舞。英語読みすると「マイナス」になることを気にして、しっかりすることを心がけているし、友人から“マイナス”とあだ名で呼ばれることに文句も言えない…痛々しいほどがんばっています。話をしたこともない同級生にムリヤリ頼まれ、地元の山に登ることになった舞。立ち入り禁止の洞穴の前で、倒れている先輩を助けた2人。意識を回復したその先輩は未来の予言を2つするが、1つが的中してしまう。もう一つは舞やその先輩の学校で、女子生徒が殺されるというもので…。
 彼の予言が引き起こす騒動やその事件を取り巻く人たちの悪意が読みどころ。でも、私は舞を山に連れていった同級生と舞のおじさんのキャラクターに惹かれました。わがままほうだいの同級生の書き方がすごいです。
 ミステリとしても、少女の成長小説としても読める1冊です。太田忠司うまいですね。

評価 良
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# by susitaro522 | 2012-10-06 07:08 | ミステリ

モラトリアム・シアター produced by 腕貫探偵

e0014175_2233151.jpg西澤保彦/実業之日本社文庫/600円/2012.10.5.読了

 腕貫探偵の3作目!と思ったら、腕貫探偵は出てこないまま、話が展開します。
 私立の高校で教員をしている若い男性が主人公。新任で周りのこともよくわからず、そもそも国語教師の資格しかもっていないのに、母親にムリに英語教師として就職させられてるし、ホームパーティーで同僚教師の妻に意味ありげな挨拶はされるし、美少女の生徒に一方的に慕われるし、いろんなことの記憶はあいまいだし…主体性がなく、存在自体もあいまいな西澤保彦のミステリっぽい主人公全開です。
 同僚教師の妻が次々に殺され、過去の事件も掘り起こされ、学園はてんやわんや。主人公も右往左往。そうこうしているうちに、主人公は犯人にされ、逃亡の身に…。
 主人公の過去があいまい、というところがこの本の眼目。なので、読んでいてももやもやし続けます。腕貫探偵はいつ出てくるの?と思っていたら、前作で、うだ貫探偵を「だーりん」と呼び慕う金持ちのお嬢さんが、主人公のお姉さんでした。
 事件もなんだかあいまいなまま終わりました。西澤保彦っぽいですねぇ…?タイトルの“produced by 腕貫探偵”が効いてます。

評価 良
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# by susitaro522 | 2012-10-05 18:30 | ミステリ

プライベートフィクション

e0014175_2215276.jpg真梨幸子/講談社/820円/2012.10.4.読了

 真梨幸子の短編集です。
 “一九九九年の同窓会”…冴えない男性が小説家としてブレイク。同窓会で近づいてきた元同級生の意図は…。
 “いつまでも、仲良く”…ダイエットに成功し美貌を手に入れたヨシエ。学生時代からの友人グループの反応は…。
 “小田原ランタン町の惨劇”…高慢なリサから地味で従順なミキに乗り換えた豊。しかし、ミキにも飽きて捨てようとした矢先に“妊娠したの”というメールが…。
 “自由研究―プライベートフィクション”“夢見ヶ崎―プライベートフィクション2”…この2つの話はつながっています。過去と現在が入り乱れ、視点人物が変わっていく複雑な構成でよくわかりませんでした。他の作品にも登場した「青い瞳のジャンヌ」というマンガがここにも登場!ということのみ印象的。呪われたマンガです。
 というわけで、初めの3作だけ。いずれもドロドロした人間の欲望が容赦なく書かれてます。特に“いつまでも、仲良く”がおもしろかったです。激しく誇張されていますが、女の友情も母と娘の関係も「あるある」と思わせる醜さです。

評価 良
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# by susitaro522 | 2012-10-04 19:47

汎虚学研究会

e0014175_220416.jpg竹本健治/講談社/880円/2012.10.3.読了
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# by susitaro522 | 2012-10-03 19:39 | ミステリ

ついてくるもの

e0014175_220753.jpg三津田信三/講談社/880円/2012.10.3.読了

 三津田信三と言えばホラー。ホラー作家がインタビューするという体裁のホラーの短編集です。
 “夢の家”…お見合いパーティーで知り合った女性と交際を始めた男。楚々とした女性に惹かれるが、彼女はいつまでたっても一線を越えさせてくれない。それとなく遠ざけようとした途端、彼女は豹変。そして、彼の夢の中に登場して…。
 ”ついてくるもの“…廃屋に踏み込んだ少女が見たのは荒れ果てた雛飾りだった。唯一美しいお雛様を持ち帰った少女だが、身辺に怪異が起こり始めたため、人形を捨てるのだが…。
 ”ルームシェアの怪“…男女4人のルームシェア。干渉し合わないルールだが、仕事に行っているはずの女性の気配や視線を感じるようになり…。
 ”祝儀絵“…幼いころからかわいがってくれている姉のおみやげは、婚礼を祝う1枚の絵だった。しかし、その絵はどこかいびつで…。
 ”八幡やぶ知らず”…転校生の少年が入れてもらったグループで流行っていた遊びは“探検”。祖父から決して入ってはいけないと禁じられていた小山がターゲットに選ばれてしまう。断りたくても断れず…。
 “裏の家の子供”…同棲するつもりで借りた一軒家。しかし、些細なことから男は逃げてしまう。すぐには引っ越しできないため独り暮らしを始めたが、裏の家からはひっきりなしの子供の声…。
 “椅人の如き座るもの”…人間をかたどった家具を作る男。そこで殺人事件が起こるが、鉄壁のアリバイがあり…って、これだけミステリでした♪
 スーパーナチュラルな怖さ、女の情念の怖さ、いろんな怖さが楽しめる(?)1冊です。それにしても、正体の知れない存在がなにもせず「ついてくる」だけで、十分怖いかも。

評価 良
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# by susitaro522 | 2012-10-03 17:16

家族の勝手でしょ!

e0014175_2159344.jpg岩村暢子/新潮文庫/840円/2012.10.2.読了

 30~40代の主婦に1週間分の食事の写真を撮ってもらい、それと前後のインタビューを組み合わせて、日本の食卓事情を分析する「食ドライブ」。その最新刊です。
 私が一番最初に読んだ、この著者の本「普通の家族がいちばん怖い」。この本を読んだ人たちが、「あれからどうなりましたか?」と尋ねてくることが、本書となっています。つまり、継続してきた調査結果、後日談ってことですね。前著と比較し、写真がたくさん掲載されています。
 で、どうかっていうと「普通の家族がいちばん怖い」も十分怖かったですが、数年後の結果はさらに怖いことになっています。なにが怖いかって言うと…
 子どもが嫌がるものは一切食卓に出さない。子どももキライな食材が入っているだけで皿ごと拒否。
 ラーメンにも焼きそばにも具は入れない。理由は「そのものの味を楽しむため」?
 食器を洗わなくてすむよう最大限の努力をする。たとえば味噌汁の回し飲みとか。
 家族のメンバーはそれそれ異なる時間に異なるものを食べる。それが10才以下の子どもでも。離乳食のときからそういう状況。
 母親はテーブルの一角に菓子パンやスナック菓子などを置いておき、子どもはそこから好きなものを取っていく。なければ冷蔵庫を漁るかコンビニへ。親だけが食事らしい食事を取る時も。もちろんこれも10才以下。
 調査前のインタビューでは「手作りで」「野菜をたくさん」と述べる母親たち。調査後は「つかれることはしたくないので」と説明。その矛盾に気づかない。
 箸を使うことを躾けず、ずっとスプーンや躾箸のまま。箸の使い方や野菜嫌いは「幼稚園や学校でなんとかしてくれるはず…」。
 もう、ひーっ!ってカンジです。特に、皿に盛った菓子パンやスナック菓子をてんでに食べていくという現実。著者はこれを「餌場」と名付けています。社会的動物である人間が、社会性を徐々に失いつつあります。ううっ、日本は滅びるに違いありません。恐ろしすぎて読み返せない1冊です。

評価 優
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# by susitaro522 | 2012-10-02 20:30 | ノンフィクション

閉ざされて

e0014175_21584244.jpg篠田真由美/角川文庫/552円/2012.101.読了

 札幌の高台に建つ館を舞台に、名家の跡継ぎである父親、美貌で謎の死を遂げた母親、冷たく財産目当ての継母とその娘2人、そして頼りに出来そうでできない兄、家に忠誠を誓う女使用人などに囲まれた主人公の一人称で描かれたミステリです。複数の人の思惑が絡み合い、だれが味方でだれが敵なのか…。そして、“引きこもりのシンデレラ”である主人公・ミギワの意図さえも読み手にとってはあいまいで…。
 主人公の手記という体裁で書かれた1冊。そこに、読者への罠が仕掛けられているという叙述ミステリでしたが、「ん?これが罠?」ってカンジで、肩透かしでした。仰々しい文章が得意ですよね、篠田真由美。

評価 良
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# by susitaro522 | 2012-10-01 21:39 | ミステリ

大奥 8

e0014175_2158261.jpgよしながふみ/白泉社/657円/2012.10.1.読了
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# by susitaro522 | 2012-10-01 20:57 | マンガ

グラツィオーソ

e0014175_10352171.jpg山口なお美/アルファポリス文庫/600円/2012.9.29.読了

 青春スポーツ小説!ならぬ、青春ブラバン小説。
 女子高生・あやが主人公。数年前に赴任してきた顧問の教師の指導のもと、めきめきと実力をあげ、ブラスバンドの甲子園・普門館を目指す高校生の姿をさわやかに描いた1冊です。銀賞に終わった県大会をプロローグに、次の年の県大会に向けた様子が書かれています。なんとなくカウントダウンっぽいカンジ。
 ブラスバンドは文化部ですが、日々の練習、チームワークなどスポーツと共通した要素が多いので、スポーツ小説のようです。他の青春スポーツ小説と違った特徴は、ネットで評判になって実力ある新入生が大量に入部してきてとまどうところ、と、この高校が進学校で勉強と部活の狭間で生徒たちが苦しむところ…練習のさせすぎで顧問が窮地に追い込まれるところは進学校っぽいですね。
 けっこう評判の本っぽいことがオビに書いてありました。確かにわくわくする1冊です。ザ・青春。

評価 良
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# by susitaro522 | 2012-09-29 20:01

風精の棲む場所

e0014175_10345011.jpg柴田よしき/光文社文庫/495円/2012.9.28.読了

 柴田よしきの他のシリーズ(「猫探偵正太郎)にも登場し、自身のシリーズもあるミステリ作家浅間寺竜之介のシリーズです。
 彼の作品のファンという女子高生とメールのやり取りをするうちに、彼女の住む村の祭りに招待された浅間寺。京都の山深くにあるその村は人里離れた環境で、独自の風土をはぐくんでいた。選ばれた若い女性たちだけが参加できるという祭りの奉納舞に魅了された浅間寺だが、直後に舞を舞った娘のひとりの死体が発見され…。
 ラストも含め、幻想的で哀切な1冊。ミステリ部分よりも美しい舞の描写が圧巻でした。ぜひ映像化してほしい(2時間ドラマ?)と思いましたが、きっとしょぼいできになるに違いない…。

評価 良
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# by susitaro522 | 2012-09-28 23:12 | ミステリ

赤い月、廃駅の上に

e0014175_1034348.jpg有栖川有栖/角川文庫/552円/2012.9.27.読了

 有栖川有栖の新刊。とうぜんミステリでしょ!と思ったら、ホラーでした。以前読んたアンソロジーで、編集者の依頼に応じて官能的な作品を書いていたので、テリトリーを広げているのですね。
 で、ホラー短編集です。
 密林の中を電車を乗り換えつつ、果てしないさすらいを続け、いつしか脱出できなくなる…筒井康隆を想起させる“密林の中で”と鉄道好き(テツ)が百物語をする。そして最後の話が終わった時に訪れたものは…“テツの百物語”が印象的でした。
 ホラーというより奇妙な味の小説ってカンジ?

評価 良
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# by susitaro522 | 2012-09-27 23:05

ミステリ・オールスターズ

e0014175_10333031.jpg本格ミステリ作家クラブ 編/角川文庫/819円/2012.9.27.読了

 「これぞ本格最前線!」というオビに惹かれて購入。表紙の著者陣も有名ミステリ作家がズラリ…でしたが、読んでも読んでも、聞いたことも読んだこともない人の短編が続きます。経歴を見ると、新人ではないよう…?新たな才能発見…というわけでもなく、可でも不可でもないカンジ。ラストに有名作家の短編とリレー形式のミステリが収録されていました。辻真先の短編にはにやりとさせられましたが、う~ん、期待した分、微妙。

評価 可
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# by susitaro522 | 2012-09-27 18:51 | ミステリ

彼女はいいなり

e0014175_10325957.jpgサタミシュウ/角川文庫/476円/2012.9.25.読了

 サタミシュウの「青春SM小説」。久しぶりに読んでみました。
 高校生の美樹。童貞の彼は、同級生の恋人との初エッチを夢見ている。部活で忙しい彼女と連絡が途切れているうちに、彼女が部活の後輩にフェラチオしているところに連れていかれ…!ショックを受けた美樹が出くわしたのは高校の女性教師・志保先生。先生の性の手ほどきをうけることになった美樹…。
 あらすじを書こうとしたら、一昔前のポルノみたいになっちゃいました(笑)。
 サタミシュウ、描写がうまいですよね。あんまりたくさん読んだわけではないですが、この描写のうまさが他の作者と一線を画し、このシリーズが角川文庫で出版されている利用かも。特に、美樹が恋人と後輩の浮気のシーンを目撃するところと、志保先生に命じられそのシーンを説明しつつ再現するシーンが秀逸でした。
 それにしても…。美樹の恋人・苑子。ひどすぎます。美樹を大切にしたいと思いながらも後輩との性に溺れてしまうというところまではなんとか了解できますが、後輩に捨てられ、また美樹にすがろうとするなんて醜悪!それと、本の中では志保先生は恋人にばれることを恐れながら美樹と付き合っているのですが、「それもプレイの一環で、ほんとうはSの恋人に命じられてやっているのでは?』と思った私はすれてるの?
 サタミシュウの第1作「私のドレイになりなさい」が映画化されたそうです。見なくては!?サタミシュウの作品ってどれもタイトルにインパクトがありますよね。眼を惹きます。

評価 良
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# by susitaro522 | 2012-09-25 21:14

珈琲店タレーランの事件簿

e0014175_10322847.jpg岡崎琢磨/宝島社文庫/648円/2012.9.25.読了

 京都の珈琲店を舞台に、美人バリスタと若い男性客の間の交流と日常の謎を描いた連作ミステリ。
 出版社は違うけれど、表紙のイラストのカンジがなんだか「ビブリア古書店の事件手帖」を連想させます。2匹目のドジョウ?
 登場人物たちの話し言葉が現代とは思えないほど仰々しく、またその感情も大げさで、あんまり好きになれませんでした。

評価 可
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# by susitaro522 | 2012-09-25 19:20 | ミステリ

ハング

e0014175_10313880.jpg誉田哲也/中公文庫/686円/2012.9.24.読了

 警視庁捜査一課の刑事・津原永太。彼が所属する堀田班は強いチームワークで結ばれていた。過去に起こった殺人事件に不審な点が発見され、再捜査を始めたが、いきなりチームが解散させられる。さまざまな場所に配属を変えられた刑事たち。納得のいかない思いを抱える津原だが、さらには、仲間たちが殺されていき、ひそかに心を寄せていた同僚の妹も犠牲になる。津原は背後に隠れる巨悪に立ち向かい、巧にターゲットを死に至らしめる犯人に迫れるのか!
 警察という機構、金銭目当てと思われる殺人事件、という現実的な出発点から、どんどん話は現実離れしていきます。どんな相手も自殺に見せかけて殺すことができる殺し屋のキャラクター、警察機構さえも自由自在な巨悪を倒すという着地点。についていけるかが、この本を楽しめるポイントです。それにしても悲惨な話です。

評価 良
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# by susitaro522 | 2012-09-24 19:34

ハイスクール歌劇団 男組

e0014175_10303980.jpg米原弘樹/幻冬舎文庫/533円/2012.9.20.読了

 「青春スポーツ小説」ならぬ「青春タカラヅカ小説」。しかも男子高校生版♪
 なにごとにもやる気のない高校生が、文化祭で宝塚をやることになり、メンバー集め、レッスン、そして、本番を通して友情をはぐくみ成長していく姿を描いた王道「青春小説」です。
 それなりの苦心はあるものの、メンバーの離散…でも、戻ってくる!がけっこう簡単に書かれていたので肩透かしなカンジ。男の子も虜にする宝塚の魅力は存分に伝わってきました。
 この小説には大人が2人出てきます。彼らにレッスンをつけるバレー教師と主人公の担任。どちらも印象的な人物です。なかでも、担任は生徒になめられているようで、実はしっかりと主人公をあやつる凄腕でした。東証人物の中で唯一気持ちが読めない気になる人物です。
 この本はドラマ化されるようですね。見たいような見たくないような…。

評価 良
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# by susitaro522 | 2012-09-20 11:51

星をつくった男

e0014175_1030098.jpg重松 清/講談社文庫/629円/2012.9.20.読了

 数年前のテレビドラマ「ヒットメーカー・阿久悠物語」。よかったですね。なつかしい歌謡曲の数々、昭和40~50年代の勢いのあった芸能&テレビ業界、そして、阿久悠という稀有な才能が描かれており、ビデオに録って何度も観ました。
 ドラマを見た直後に阿久悠の本を読みましたが、今回は小説家・重松清が阿久悠について書いた本。たぶんこれがドラマの原作と言うか、下敷きになったんじゃないかと思います。
 それにしてもやっぱり阿久悠はすごい。作詞した量も質もバリエーションも。そして、時代を切り取るという姿勢も。
 ドラマでは田辺誠一が演じてました。ドラマとしては申し分ないけど、この本を読んだらイメージと違うかな。それと、ドラマで都倉俊一を演じた内田朝陽にヤラレマシタ。かっこいー!
 今、ウィキを読んだら、映像の権利関係でドラマのDVD化も再放送も困難と書かれてました。デッキが壊れたからビデオテープ捨てちゃいました。残念無念(涙)。

評価 良
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# by susitaro522 | 2012-09-20 05:59 | ノンフィクション

ダークゾーン

e0014175_10291445.jpg貴志祐介/祥伝社/1200円/2012.9.14.読了

 突然異世界で目覚めた主人公。周りには17人の人間が。その中には恋人もいて…。という風変わりな幕開けから始まる1冊です。主人公は大学生でプロ棋士を目指していますが、もう一歩でプロになれる瀬戸際にいます。
 そして、わけが分からないまま異世界では戦いが始まります。彼を含めた18人は化け物のような姿に変わっていて、その中のキュブロス(一つ目)のみが、この世界のルールを知っている。…ストーリーが進むうちに、戦いのルールが将棋に似ており、将棋の公式戦と同じく7戦のうち4勝しなければ抹殺されてしまうということが分かっています。現実世界で彼が起こした過去も絡んでくるという複雑な構成になっていますが。この本の魅力は、ゲームのような現実離れした舞台設定、緻密な戦い(ゲーム)のルール、そして戦いを重ねるうちに勝つために非情になっていく主人公。最後のどんでん返しも、ありがちと言えばありがちだけれど、主人公に感情移入した果てのラストなので、襲撃的でした。
 非現実的な設定なのに、将棋のことは詳しくないのに、読んでいるうちに、ぐんぐん引き込まれました。「鍵のかかった部屋」→「悪の教典」と来て、この本「ダークゾーン」です。すごいです。貴志祐介。

評価 優
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# by susitaro522 | 2012-09-14 22:04

PRIDE 池袋ウエストゲートパークⅩ

e0014175_10283772.jpg石田衣良/文春文庫/505円/2012.9.11.読了

 池袋ウエストゲートパークの10冊目です。これ、どれだけ続いているのでしょう…。長瀬君主演でドラマ化される前から読んでいるので…うーん。お約束でマコトは年を取らないので、いかにもイマドキでしょう、カッコいいだろう、という言動が(読み手である自分が年を取ったので)響かなくなってきました。
 紛失した携帯電話をネタにされた脅迫…“データboxの蜘蛛”
 自転車でひき逃げをした犯人を探す…“鬼子母神ランダウン”
 ストーカーに追われるアンダーグラウンドアイドル…“北口アイドル・アンダグラウンド”
 ホームレスの若者を食い物にするNPOと連続レイパー…“PRIDE”
 これといい、建築探偵といい、シリーズものはやめドキを見極めるのが難しい…。

評価 良
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# by susitaro522 | 2012-09-11 22:12

愛しいひと

e0014175_10263853.jpg明野照葉/文春文庫/552円/2012.9.10.読了

 長年連れ添ってきた夫が突然失踪。理由は不明…という事件を夫と妻の側から描いた1冊。夫に頼りきりだった妻が社会的、経済的、心理的に自立していく様子と、人並みの社会的な成功の裏で虚無感を抱えた夫が立ち直っていくさまを描いています。
 “女性の怖さ”“人間の否定的な面”を書くのには定評のあった明野照葉の新たな作風を感じた本でした。

評価 良
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# by susitaro522 | 2012-09-10 21:11

神去なあなあ日常

e0014175_930355.jpg三浦しをん/徳間文庫/619円/2012.9.9.読了

 三浦しをんの新刊です。
 高校卒業を間近に控えた主人公・平野勇気は担任と両親に勝手に就職先を決められてしまう。それは…林業だった!
 横浜で生まれ育った男の子が、いきなり三重県の山林に放り込まれ、当然のことながらやる気はなく脱走しようとすることもあったが、徐々に林業の楽しさに目覚めていく…というお話です。
 木を植えたり切り倒したりする技術、木(というか山)を育てていくという視点、オビにある通り「三浦しをんのお仕事シリーズ」と言ったカンジですが、「山には神様がいる」ということを厳然とした事実として描いているところが興味深かったです。ラストのお祭りは圧巻。っていうか、命からがらでした。
 この本の著者と一連のエッセイを書いている人が同一人物とは思えません。小説家とは、その存在自体が多面的なものですね。
 三浦しをんのお仕事シリーズって?今のところ…
 「舟を編む」…(辞書の)編集者
 「神去なあなあ日常」…林業
で、後は?

評価 良
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# by susitaro522 | 2012-09-09 23:56

長い廊下のある家

e0014175_14353552.jpg有栖川有栖/光文社/800円/2012.9.8.読了

 犯罪学者・火村英生と推理小説家・有栖川有栖のシリーズ。“長い廊下のある家”“雪と金婚式”“天空の眼”“ロジカルデスゲーム”4つの短編が収められています。
 “長い廊下のある家”は一番正統的ミステリっぽいカンジ。でも、離れた家と家をつなぐ地下通路の存在は現実にはありそうもないです。
 “雪と金婚式”は、結婚50年を迎える夫婦にしみじみしました。あとがきで「カッパノベルス50周年記念」の作品とありました。作中の河童の置物が出てくるのはサービス(笑)だそうです。
 “天空の眼”…これもいろいろと現実感がないカンジでした。オカルトっぽい写真!と言いだした理由には納得いかないし、有栖川がわざわざ現地に行くには遠すぎるし。
 “ロジカルデスゲーム”…自殺サイトを訪れた人たちを次々に殺していく犯人が、火村に仕掛けたゲーム。毒杯をあおるのはどちらか!3つのコップにトリカブトの毒を入れ、互いに選ぶというゲームです。確率論が出てきましたね。火村の解決策は意外でした。かっこえー。
 ↑では、わりと批判的でしたが、4つそれぞれ工夫を凝らしていて、バリエーションに富む一冊です。

評価 良
 
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# by susitaro522 | 2012-09-08 09:47 | ミステリ

深夜食堂 8

e0014175_930582.jpg安倍夜郎/小学館/743円/2012.9.7.読了

 「深夜食堂」の8巻です。
 登場する食べ物はゴーヤ、タコぶつ、豚の角煮、湯豆腐、目玉焼き、桜でんぶ、中濃ソース、などです。
 桜でんぷは、マスターがこの店を開くときのエピソード。この本ではとってもおいしそうに書いてありますが、まだおいしい桜でんぷに出会っていないので、うらやましい限りです。それに対して、中濃ソース。わりとなんにでもソースを掛ける私。てんぷらにも、ポテトサラダにも、目玉焼き、にもソースです。ウスターソースもいいけれど、中濃ソースもとんかつソースもいけますね。近所の讃岐うどん屋にはてんぷら用ソースがあります。これもうまい!
 秋から深夜テレビで、利重剛がごはんを食べる(だけ)のドラマが始まるようです。このマンガが原作のドラマといい、中年の渋い男性とおいしいごはんは、人の心を惹きつけるのですね。

評価 良
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# by susitaro522 | 2012-09-07 23:52 | マンガ

深夜食堂 7

e0014175_9293254.jpg安倍夜郎/小学館/743円/2012.9.7.読了

 7巻です。たまには中身の紹介を。
 老いたオカマ・小寿々さんのもとを訪れたひとりの青年。彼は亡くなった祖父の本にはさんであった1枚の写真を手がかりに、小寿々を探し当てたのだ。゛ずっと昔の青春時代、ほろ苦い思い出を描いた“甘い卵焼き”。 お互いの親が結婚し、すぐに離婚したために、4年間だけ兄弟だった2人。2人をつなぐものは、ハムカツとオセロの思い出…“ハムカツ”
 中年男性上司と若い女性の部下。指導と言う名の小言を、アスパラを食べながら聞き流す部下だったが…“アスパラ”
 …のようなちょっといい話が「深夜食堂」です。うまい!とか、よく続くな、とは思うけど、私のストライクゾーンじゃないのです。いい話がキライなのかも!?

評価 良
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# by susitaro522 | 2012-09-07 23:50 | マンガ