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人いぬにあう

人いぬにあう_e0014175_12323222.jpgコンラート・ローレンツ/ハヤカワ・ノンフェクション文庫/740円/2009.5.15.読了

 「ソロモンの指環」のローレンツの本です。ローレン自身が飼っていた犬や猫のエピソードを交え、動物行動学について書かれたエッセイです。
 獣医さんが書いた「ヘリオット先生、奮戦記」見たい本かな、と漠然と想像していましたが、なかなかに理論的な本でした。犬の先祖がジャッカルである、と論じるところはなかなか興味深いです。ローレンツの研究が豊かなイマジネーションに支えられていることがよく分かります(犬の先祖がジャッカルであることは後年否定されたそうです)。
 一番関心を引かれたのは、動物が対象を“子ども”である、と認識するのはその大きさではない、というところです。自分が生んだのではない子どもを育てる行動は、しばしばみられますが、小型犬は自分よりも大きな犬の子どもも子どもとみなし、反対にいくら小さくても小型犬を子どもとみなすことはない、というくだりには、当たり前のことながら、目からウロコってカンジでした。
 時代的に古いこともあり、犬や猫の飼い方に共感できないところもあるけれど、別な種であることを尊重し、過剰な擬人化を戒める態度は、肝に銘じなければならないですね。

評価 良
by susitaro522 | 2009-07-15 15:51 | ノンフィクション
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