寡黙なる巨人

e0014175_9313193.jpg多田富雄/集英社文庫/571円/2010.8.18.読了

 「畏ろしく、美しく、皮膚感覚に迫ってくる。これほど美しい死の世界の描写を私は見たことがない」という養老猛司のオビの言葉に惹かれて読んでみました。
 突然、脳梗塞という病魔に襲われ、死の淵をさまよい、生還後も右半身不随と言う後遺症に苦しみながら、リハビリを続けながら社会的な活動を行った著名な免疫学者のエッセイです。
 前半が出張先で発病→死線を彷徨う→地元東京の病院に転院→リハビリのためまた転院→退院。後半は心に触れた徒然のこと、という構成でした。前半はオビにあるとおり圧巻でした。
 多田富雄という学者は、寡聞にして知らなかったのですがT細胞を発見した人のようです。すごい業績です。この本を読んで感じたのは、圧倒的な知性と年齢を重ねても衰えない意志の力です。それと、趣味がものすごく広いこと。すごい人は広い分野ですごい能力を発揮するものですね。それにしても、妻の献身ぶりについての描写が少ないのが不満です。随所に感謝の念が書かれていますが、もっと書いてくれてもいいと思います。

評価 良
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by susitaro522 | 2010-08-18 23:48 | エッセイ
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