純愛小説

e0014175_20461399.jpg篠田節子/角川文庫/514円/2011.1.31.読了

 篠田節子の短編小説集です。
 “純愛小説”…ヒロインは編集者。若いころから浮名を流していた友人の男性が妻から離婚を突き付けられる。ここ数年は女性には手を出していないのに、なぜ妻は別れを切り出したのか。
 “鞍馬”…介護していた親が亡くなって一人暮らしをしていた姉が失踪。姉の行方を捜す妹は、姉が男に騙され貢いでいたことを知る。やっと発見した姉は廃人同様になっていたが。
 “知恵熱”…大学に入学して一人暮らしを始めた息子のアパートを訪ねた父親は、息子の恋人に出くわしてしまう。くったくなくふるまう息子の恋人にまぶしさを覚える父だったが。
 “蜂蜜色の女神”…メンタルクリニックを経営するヒロインのもとを訪れたのは、夫が一回り年上の女性と不倫に走っているという女性だった。そんなに年上の女性に惹かれるなんて病気に違いないと主張する患者だが。
 篠田節子らしくひねりが効いています。“純愛小説”では、凡庸な作家を(女性だからと)押し付けられた不満を訴えるヒロインに「そいつの最大の才能は、凡庸さだ。退屈な凡庸さを世界が共感する凡庸さに転化させる。それが君の仕事だ」と励ます友人の言葉が白眉です。その他にも“蜂蜜色の女神”のこざかしく世俗的な妻の描写とか…そんな篠田節子のただならぬ恋愛小説です。

評価 良
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by susitaro522 | 2011-01-31 23:32
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