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山魔の如き嗤うもの

山魔の如き嗤うもの_e0014175_12362669.jpg三津田信三/講談社文庫/819円/2011.5.17.読了

 三津田信三の新刊。さすらいの民族学者(なのに事件に巻き込まれ探偵をしてしまう)刀城言耶のシリーズ。4冊目だそうです。
 戦後の日本の山村が舞台。成人する際に、3つの山を巡るという習わし“成人参り”がある旧弊な家で育った四男。病弱で(でも頭はよい)父親からも兄たちからも虐待されて育ち、都会で教員をしている彼が“成人参り”のために帰郷。山に入るが、いずこからともなく注がれる視線、迷い込んだ賽の河原、不気味な老婆…と次々に怪異に襲われる。とうとう地元で“忌み山”と恐れられる山に迷い込んでしまうが…。
 と、ここまでがプロローグ。「彼の様子がおかしい」とこの青年の従兄から相談を受けた言耶が彼の地に足を踏み入れると、次々に殺人事件が起こる。そしてその現場は土地に伝わるわらべ歌をなぞっていた…という見立て殺人のミステリでした。
 とっても凝った筋立てで、3つの家を巡る葛藤や姻戚関係。過去に起こした事件。山魔(やまんま)という山にすむ老婆の化け物の言い伝え、などなど。3つの家の位置関係からして、私の頭では理解できませんでした(涙)。道具立てが怖くて楽しめるかと思ったけど、山魔の活躍せずそうでもありませんでした(涙)。
 刀城言耶シリーズの特徴は「Aという真相と思ったら、やっぱりBでした。と思ったけど、犯人のあなただけには言いますけど、真相はCですよね」という何重仕立てにもなった謎解きのプロセスですが、今回の謎ときには無理がある気がします。いくら変装したって、ばれるって!!

評価 良
by susitaro522 | 2011-05-17 18:48 | ミステリ
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