我孫子武丸/徳間文庫/657円/2012.5.7.読了
近未来SF? 遺伝子レベルでの相性を調べ、幸福な結婚生活をサポートする企業・PM社が、日本の国民の婚姻を支配する世界。 水元とルナは完璧な相性を保障されたカップルだったが、新婚旅行中から暗雲が立ち込め、旅行から帰るなりルナは水元に離婚を切り出す。親もPM社の信奉者で自分は社員である水元は、とうぜん拒否するが、ルナの固い決意と暴力的な主張により、しぶしぶ同意。しかし、ふたりの前途には高い壁が立ちはだかっていた…。 PM社がなにをたくらみ、そして二人の離婚を阻む理由は何か…という謎を解明すると考えればミステリですが、どっちかというとSFと捉えたほうが個人的にはしっくりきます。 水元とルナのカップルのキャラが立っていて、そして、2人の初めての共同作業(笑)である『離婚』への困難に満ちた道のりが読ませます!PM社の社長の主張は、暴論かもしれませんが、私は納得できるところがあります。個人の幸福を追求する価値観は結婚制度を崩壊させるし、たとえ虚構でも理由付けがあれば関係を継続させようという動機づけになりますよね。…というように、今の日本の結婚のむずかしさと少子化についても、つい考えてしまう1冊でした。 好みはあると思うけど、おススメです。 評価 良
by susitaro522
| 2012-05-07 20:17
| ミステリ
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