八月の魔法使い

e0014175_15413013.jpg石持浅海/光文社文庫/619円/2012.7.16.読了

 理系な思考形態が楽しめる石持浅海の新刊。どんなミステリかと思ったら…。
 洗剤メーカーの経営管理部の社員・小林拓真は総務部の万年課長(退職間近)が部長に事故報告書を突き付けるのを目撃。同時に、同じ部員の拓真の恋人は役員会議の席上で操作していたパワーポイントに同じ事故報告書のスライドが紛れ込んでいたため、窮地に陥っていた…。
 えっと殺人どころが、犯罪行為はおきません。事故報告書の中身はなにか?そしてそれを役員会議に紛れ込ませた人間の意図と正体はだれか?が謎。というより、万年課長で無能力と判じていた人物が実はスーパーサラリーマンで、主人公の若手社員がどう立ち向かうか、が眼目です。この2人の丁々発止のやりとりが緊迫感があってかつすがすがしいんです。
 そして、そこに登場するのが会社内のパワーバランスと企業の論理。論理的なミステリが特徴の石持浅海ですが、論理と言っても企業の論理。こんなミステリの書き方もあったのね、と目からウロコでした。

評価 良
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by susitaro522 | 2012-07-16 10:02 | ミステリ
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