ツナグ

e0014175_9272031.jpg辻村深月/新潮文庫/630円/2012.9.4.読了

 死者に再び会わせてくれる使者“ツナグ”。この本は、亡くなった人に会いたいという人の思いと一晩だけ(月が出ているあいだだけ)の再会を描いた連作短編集です。
 “ツナグ”には細かいルールがあり、その縛りが読んでいて「やるな!」と思わされます。つまり、人生で死者に会えるのは一度だけ。そして、死者の側も会えるのは一度だけ。なので、後でもっと会いたい人が現われるかも、と思ったらなかなか決断できないし、死者の側もこの人に呼び出してもらいたいと思ってもそれが叶わないこともあるし。
 それと、使者“ツナグ”が依頼人と会うのは必ずある病院の中庭で、死者と会うのはとある高級ホテルの一室。というのも、読んでいて、どんな理由が…と謎を深めます。
 死者と会わせてくれる使者“ツナグ”は、顔立ちが整った男子高校生。依頼人の立場から描かれた前半では、彼は冷静で謎めいた存在ですが、“ツナグ”である彼自身の側から描かれた後半で、さまざまなことが反転します。この鮮やかさ、伏線の見事さはさすが辻村深月ってカンジ。登場人物たちの心理描写もさすがってカンジ。
 解説にも書かれていましたが、今までの彼女の本と印象が違いました。辻村深月は「名前探しの放課後」以前と以後では作風が変わったと思ったけど、第3期に突入でしょうか。どんどん成長し、円熟していくのですね。でも、初期の作品が一番好き…。

評価 良
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by susitaro522 | 2012-09-04 23:07
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