後悔と真実の色

e0014175_1004541.jpg貫井徳郎/幻冬舎文庫/876円/2012.10.17.読了

 なぜ上下巻に分けなかったのか…というくらいぶ厚い貫井徳郎の新刊です。
 「悲鳴が聞こえた」という通報で、出向いた警官が見つけたのはめった刺しの若い女性の死体。その指は切り取られていた…。
 同様の事件が連続して起こります。この事件を追う警視庁捜査一課の刑事・西條を中心に物語が展開し、そこに「悪を秘めた女性」をターゲットにし、ネットに犯行予告をして捜査を混乱に陥れる犯人「指蒐集家」視点の短い章が挟み込まれます。
 警察という機構の矛盾と一刑事の苦悩がじっくり書きこまれていて読みごたえがありました。主人公は実力は抜きんでているものの合理的なやり方がいきすぎているタイプ。不倫を告発され仕事を追われ、ホームレスに墜ち、愛した女性は殺され、さらに…と、人生のどん底にたたき落とされる主人公・西條の転落ぶりはすごかったです。転落した途端、手のひらを返したような部下の態度もリアルでしたね~。
 ミステリとしても一級品です。他のミステリの「意外な犯人」には驚かないことが多いのですが、この犯人は本当に意外で、そして納得がいきましたね。ぶ厚さにも納得がいく、充実した一冊です。
 それにしても、主人公の刑事の妻が印象的でした。それほど出番は多くないですが、華やかで才能がある女性に惹きつけられ、どうしても結婚したくて、拒否しているのを説得し、相手の条件を呑んで結婚したものの、結局相手も自分も不幸になり、挙句の果てはほかの女性と付き合う夫…まとめてみると主人公最低の男です(笑)。
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by susitaro522 | 2012-10-17 21:52 | ミステリ
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