乃南アサ/講談社文庫/600円/2012.10.22.読了
新聞配達の仕事で借金を返せた主人公。しばらくは腰を落ち着けてお金を貯めようと考えていた最中、住み込み仲間のトラブルをきっかけに故郷に帰ることにします。そういうわけで、上巻は東京、下巻は主人公の故郷の北海道・斜里が舞台になります。 故郷でスーパーの仕事を見つけ、まじめに働きだした主人公。そこへ、住み込みで働いていたときの知り合いの少女が転がり込んできて…。 この少女と主人公の関わりが下巻の中心。自分だけが運が悪い、恵まれない。人生をやり直したいと思っている主人公がこの少女の人生に触れることで成長していきます。とっても深い話でした。それにしてもこの主人公。故郷の町でもまた失敗します。だれでもやっている、このくらいはだいじょうぶだろうなんて、現実認識が甘いとしか言いようがありません。 登場人物の中で印象的だったのは、主人公の祖母。なんだかいつも眠ってばかりいるようで、でも、含蓄のあるセリフを言うのです。老賢者ってカンジですねぇ。…と思ったら、この祖母を主人公にした話もあるようです。やっぱり、作者にとっても魅力のある人物なのですね。 タイトルの「ニサッタ」は沖縄の言葉で「明日」という意味だそうです。どんなに今日が辛くても「明日がある」ということでしょうか。 評価 良
by susitaro522
| 2012-10-22 11:57
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