世界でたったひとりの子

アレックス・シアラー/竹書房文庫/705円/2012.10.28.読了

 珍しく海外文学。
 高齢化そして老化を防ぐ技術が進歩した世界。引き換えに出生率が激減し、子どもの存在がなによりもまして貴重になっている。子どもはさらわれないように家の中に隠され、また、子どもを持つ体験がしたい人々のために貸し出される。子どものままにとどめる技術も開発され、実年齢と隔たりのある子どもたちのショーが行われている…そんな世界を克明に描いています。
 主人公の少年・タリンは血のつながりのない男に連れられて、街々を流れ歩き、子どものない夫婦に時間で貸し出される日々。“お客”が望む“子どもらしさ”を演じています。
 作家のアレックス・シアラーはイギリス人。イギリスって、こういう虚構の話を書くのがうまい人が多いですね。「私を離さないで」とか「1984」とか「時計仕掛けのオレンジ」とか?
 連れられている男に、何度も子どものままでいるように手術を勧められても、成長することを望む主人公・タリンと、子どもを望むことを切望する人々の思いが切なく伝わってくる良書です。

評価 良
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by susitaro522 | 2012-10-28 20:28
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