スターバト・マーテル

篠田節子/光文社文庫/619円/2013.1.22.読了

 篠田節子って、どんな話なのか読んでみないとまったく予想がつかないです。今回はタイトルから音楽の話…と予想。
 ヒロインはアッパークラスの主婦。乳がんの手術を受けた後です。乳がんをきっかけに死を意識するようになった…と言っても、生きるための努力をするというわけでなく、なんとなく死に親しみを感じているという性格です。スポーツクラブで、中学時代の同級生と再会。彼は子どもの頃、突出した存在でクラスから浮いていた。数十年の歳月を経て、彼は世慣れた様子となっていた。再会後の彼女の微妙な変化に気付いた夫は不倫を疑い始めるが…。う~ん、あらすじを書いていたら、昼ドラマみたいになってしまいました。読み方は人それぞれだろうと感じる奥行きのある話でした。あくまで前向きに彼女を生に向かわせようとする夫と友人。彼らとヒロインの齟齬が、自分的には一番関心が向きました。まっとうな人たちには理解できないし、なんとか説得して考えを変えさせようとする“不健康な”考え・姿勢。そういうものが濃密に描かれていました。まっとうな人って、うっとうしくて暑苦しいです。
 昔の同級生の彼は犯罪に手を染め、それを知った彼女は衝動的に彼を追い…というラストでしたが、この部分は冗長に感じました。しかも、ひっぱってひっぱって、最後の最後はソレかい!?という終わり方でした。
 南のリゾートアイランドでウエディングを描いた“エメラルド・アイランド”も収録されています。2作とも、社会的な背景も人生の綾もしっかり書き込まれていました。そして退廃的。「芸術選奨文部科学大臣賞受賞作品」だそうです。

評価 良
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by susitaro522 | 2013-01-22 00:10
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