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終生ヒトのオスは飼わず

終生ヒトのオスは飼わず_e0014175_20245030.jpg米原万里/文藝春秋社/1381円/2007.7.25.読了

 米原万里の名エッセイ「ヒトはオスは飼わないの?」の続編です。前作に登場した愛すべき犬、猫たちのその後が描かれています。
 通訳で行った先で捨てられていた兄妹子猫の無理と道理。寛容で男らしく、父性愛に満ちた無理、一家の女王様・無理。これも通訳で行った先から連れ帰った非純血犬のゲン。人格者で生きとし生けるものをすべて愛する子どもに大人気のゲンのたった一つの弱点はカミナリ。そのカミナリのためにある嵐の夜から行方不明中。ロシアから連れ帰ったブルーペルシャのソーニャとターニャ。ソーニャは近所のトラ猫と恋愛し4匹の子猫の母親に。子猫のうち2匹は里親に引き取られたものの、2匹(龍馬と志摩)は不適応で帰ってきてしまいます。行方不明のゲンを探すうちに、見捨てられずに引き取ったノラとモモ。そして、転居してから一緒に暮らし始めたピレネー犬たち…と著者が愛した動物たちがたくさん登場します。前作と異なり写真がたくさん掲載されているのも見所です。
 後半は父親や母親についてのエッセイなどが収録されています。
 米原家で暮らしていた犬や猫達は自由に近所を出歩いていたようで、そのために無理が猫エイズに罹患したり、近所から苦情が来たりしていて、最近のマナーからしたら首をかしげるようなところもありますが、愛情深く生き生きとした彼女の描写に引き込まれ一気に読んでしまいました。米原万理は2006年の5月に永眠したそうです。ご冥福をお祈りするとともに類稀なる才能を持った方が失われたことを残念に思います。

評価 優
by susitaro522 | 2007-07-25 22:22 | エッセイ
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