![]() 笛の名手・与平の腕を見込んだ天狗が、子天狗・九郎丸を弟子入りさせた。カラスの羽でできた蓑を剥ぎ、人間の子どもの姿をして、いっしょに暮らし始めた九郎丸に情が湧いた与平は、九郎丸を人間として育てるために、思い切った手段を取るのだが…という、戦国時代を舞台にした日本のfantasyです。 与平も九郎丸も、大物天狗たちも生き生きとして魅力的。実際の歴史に財を取ったお話も佐藤さとるにしては珍しいですね。 しかし、オビにある「コロボックルを超えた!」は言いすぎと思います。 久々の佐藤さとるの新刊。コロボックルシリーズも復刻しています。たくさんの人が佐藤さとるの本に触れる機会が増えてうれしいです。日本の宝ですよね~。 評価 良 ■
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by susitaro522
| 2012-07-17 04:05
| ファンタジー
![]() オビに惹かれて読んでみました。 中国っぽい架空の国を舞台にしたファンタジーです。双子の兄弟が国王の座を争ったという過去を持つこの国では2つの血統が玉座をめぐって争い続けています。囚われの跡継ぎを見守る王・ひづち(漢字難しすぎ!)は、あるたくらみを持っていた…。 ざっくり言うと、国内の争いが続くと国力が疲弊し、外敵にも弱いということで、2つの血統の跡継ぎ同士で手を組む。しかし、あまりにも長い間お互いに憎む続け、相手を滅ぼすことが一族のレーゾンディテールになっているため、生ずる葛藤と愛憎の物語でした。この2人・ひづちと薫衣(くのえ)の人物造形がすばらしい!2人が手を組んでいることを知っているのは2人だけ。2人でひっそりと語り合うシーンも、一人で苦悩するシーンも読ませます。薫衣のカリスマが際立つ戦いの場面も良いですが、やっぱり薫衣と薫衣に嫁いだひづちの妹・稲積(にお)がいいですね~。 ラストは悲しいです。この壮大な物語を締めくくるためには仕方がないとは思うけれど、悲しい。物語の創造者って残酷ですね。 評価 優 ■
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by susitaro522
| 2012-03-13 11:24
| ファンタジー
![]() 「薄紅天女」下巻です。「勾玉シリーズ」3部作もとうとう最後ですねぇ。 舞台は長岡京、主人公は天皇の娘(親王)・苑上と、上巻とはガラリと変わります。天皇家を災いが襲い続け、苑上の兄(皇太子)も病に冒されています。兄と弟を救うために、少年の姿に身をやつし旅に出た苑上は阿高と出会う。阿高は天皇家に厄災をもたらす存在なのか…という疑念を抱えつつ、阿高に惹かれていく苑上…。 なんて恋愛小説っぽい要約をしてしまいました♪上巻でも感じた複雑さはここでも継続。少年を救う“水の乙女”の位置づけの苑上は男装して活躍。女性性と男性性が複雑に入り組んだ物語になってます。輝(かぐ)の一族(天皇家)にも闇(くら)が入り混じり、闇の一族の蝦夷(阿高)にも輝の一族の血が流れています。 主人公の阿高の性格が、前2作と比べると現代人に近くなっていて共感しやすいのと、最後がハッピーエンドになっているのがいいですねぇ。3作の中で一番好きです。巻末に作者と佐藤多佳子の対談が収録されているのもお得感満載です。日本のファンタジー、児童文学について語っています。 評価 良 ■
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by susitaro522
| 2010-08-11 22:20
| ファンタジー
![]() 「勾玉シリーズ」3部作、最終巻です。舞台となる時代はずっと下がって奈良時代。長岡京の時代です。 坂東の地に住む一族の少年、阿高と藤太は甥・叔父という関係ながら同い年で兄弟のように育った。いつも2人で行動する2人を人々は“二連”と呼ぶ。そんな2人だが、阿高が眠っているときに“ましろ”という別人格が現れ、予言めいた言葉を告げることを藤太は秘密にしていた。 坂東の地に坂上田村麻呂が蝦夷征伐の途中で訪れ、阿高と藤太も一向に加わることになった。阿高の父はかつての蝦夷遠征で命を落とし、そして母親は蝦夷の巫女・火の女神“チキサニ”だったのだ。蝦夷の一族に連れてこられた阿高は、人々が自分を“チキサニ”の生まれ変わりとして扱うことに困惑と怒りを覚えるのだが…。 底知れぬ強大な力を持った少年が登場。しかし、自分の力をコントロールできない…そこに少女(水の乙女)が関わって…というパターンが、3作目では複雑な構造になっています。阿高は少年だけれど、うちに女性を隠しており、そしてその阿高と親密な関係なのが血縁の男性(藤太)。阿高と藤太の間には藤太の恋人が割り込んでいます…う~ん、ユングっぽいですね。 評価 良 ■
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by susitaro522
| 2010-08-11 07:51
| ファンタジー
![]() 大王の血を強く受け継いでいた小倶那。母親に導かれ剣を持つことになる。その剣で、遠子の故郷を焼き払い、王の命を受け、地方都市を次々に制圧していく。そんな小倶那を倒すため、遠子は地上に散らばっているはずの5つの勾玉を集め、玉の御統(たまのみすまる)を手に入れる旅をする…。 玉の御統(みすまる)って、語感がかわいいです。「指輪物語」にも“ミスリル”ってアイテムが出てきましたよね。神秘的な力を持っている語感なのでしょうか。「空色勾玉」は輝と闇(かぐとくら)の二極の対立でしたが、今回は勾玉5つと多極構造です。複雑になってます。 遠子のたびの道づれ、軽くて女の子のことしか頭になく、楽天的。だけどいざというときは頼りになる菅流(すがる)のキャラが効いてます。「勾玉シリーズ」は3部作。最後は「薄紅天女」です。 評価 良 ■
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by susitaro522
| 2010-07-24 18:08
| ファンタジー
![]() 「空色勾玉」に続く、古代日本を舞台にしたファンタジー「勾玉シリーズ」の2作目です。 遠子と小倶那は双子のように育った。巫女の一族に連なる一族の娘・遠子(とおこ)。かごに入れて捨てられていた赤ん坊を遠子の両親が拾って育てた小倶那(おぐな)。やさしく内気な小倶那は村の少年たちにいじめらけ、それを気の強い遠子がかばう…という関係です。 遠子の従姉・明姫を大王のもとに迎えるため村に来た大碓皇子。彼は明姫に恋をするが、勾玉とともに大王に仕えるという使命を持った姫に拒まれる。小倶那の才を見出した大碓皇子は自らの影として仕込むため、小倶那を都に連れ帰るが…。 名前の漢字変換に疲れました…(笑)。古代日本を舞台にした話を書くのは大変ですね。作者の苦労がしのばれます。大碓皇子の子どものころに酷似している小倶那の正体は!?というのが、上巻の肝でした。ぼーっとしていて控え目な人が実は大物の素質を秘めているものなんですね~。 評価 良 ■
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by susitaro522
| 2010-07-24 04:15
| ファンタジー
![]() 古代の日本を舞台にしたファンタジー。日本神話の世界です。 主人公の少女・狭也(さや)は戦乱で家族を失い、今の両親に拾われ小さな村で暮らしています。毎夜訪れる奇妙で恐ろしい夢に悩まされながらも、明るく聡明な狭也。村の若者たちが求愛者を求める祭りの夜、狭也は輝(かぐ)の御子月代王に見初められます。と同時に、旅の楽師たちから彼女が闇(くら)の氏族の巫女姫だと告げられます…。 日本を創った伊佐那岐と伊佐那美。力を合わせて国づくりをした夫婦なのに、黄泉の国へ行った妻のおぞましい変容に耐えられず、世界は輝(かぐ)と闇(くら)に分かたれてしまいます…そんな世界が舞台です。なので、永遠に美しく生きながらえる種族が輝。生まれそして死んでいく種族が闇です。(神なので)完璧に美しくそして不死であるのは当然なのですが、輝の御子兄弟である照日と月代の非人間的な論理にしびれます♪兄弟の3人目・稚羽矢は当然スサノオノミコトのポジションなのですが、なぜ稚羽矢(ちはや)という名前なのか、私の浅薄な日本神話の知識では分かりませんでした。 この本は以前読んだことがあるはずなのですが、まったく思い出せません。カラスが登場するところだけはうすぼんやりとして記憶があるのですが…。 評価 良 ■
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by susitaro522
| 2010-06-17 00:53
| ファンタジー
![]() 英米児童文学界の新星!映画化決定!!というオビにつられて読んでみました。 母親、妹とともに、オックスフォードに来た少年・ブレークは大学の図書館で不思議な本と出会う。その本の魅力に取りつかれるブレークだが、それを狙ってくる人物に襲われ…。 15世紀に印刷術を発明したグーテンベルグの謎が絡んでくる、なかなか重厚なストーリーでした。しかし、ファンタジーとしては物足らず。やっぱり最近のファンタジーは好きじゃありません。でも、ファンタジーがブームになって、映画化され、たくさんの人が読むようになるのは歓迎。 評価 可 ■
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by susitaro522
| 2008-09-04 21:50
| ファンタジー
![]() 平安時代末期を舞台にした歴史ファンタジー。 平治の乱で源氏方に加わった16才の草十郎は笛の名手であったが、けして人前では吹かなかった。慕っていた将の死に絶望していた草十郎であったが、魂鎮めの舞いを舞う少女、糸世と出会い…。 1人の少年が、自分を見つけ、そして世界と繫がる術を見出していくファンタジーです。当時の複雑な歴史情勢がうまく盛り込まれています。“鳥の王子”カラスの鳥彦王が魅力的。 評価 良 ■
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by susitaro522
| 2006-05-25 22:56
| ファンタジー
![]() 「西の善き魔女」の最終巻、外伝の3巻です。女王継承者の1人に選ばれたフィリエルと恋人ルーンはともに育ったセラフィールドに帰るが、再び旅立つことになる。ルーンは世界の果てを目指し、南へ。フィリエルは北極の塔へ。 なんだかぼーっとしていて、なぜ2人が旅立ったのか分からないまま、読み進めてしまいました。この世界を牛耳っている賢者フィーリーとの対決が読みどころです。私がおもしろいと感じたのは、フィーリーの分身(?)にして裏切り者のバードをフィリエルが育てるところでした。 前の巻を読んでから、日にちを空けてしまったせいかイマイチのりきれず…。ストーリー追いきれず…。 評価 可 ■
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by susitaro522
| 2005-12-24 16:07
| ファンタジー
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