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幕末時そば伝

幕末時そば伝_e0014175_10321612.jpg鯨統一郎/実業之日本社文庫/619円/2011.12.14.読了

 鯨統一郎の新刊。今度は落語です。
 幕末の江戸を舞台に、小藩の跡継ぎがお家騒動で命を狙われ、記憶喪失に。そして、“熊”として貧乏長屋に住み着きます…というのがプロローグ。
 この長屋の住人が起こす騒動が“粗忽長屋”“千早振る”“まんじゅう怖い”“道具屋”“長屋の花見”をなぞっています。というか、そのまんまです。さらに、これらが江戸幕府の終焉に結びついているという構成。解説の有栖川有栖は爆笑&絶賛してますが、私にはちっともおもしろさが分かりませんでした。残念。

評価 良
# by susitaro522 | 2011-12-14 07:56

WE LOVE ジジイ

WE LOVE ジジイ_e0014175_13323151.jpg桂 望実/文春文庫/600円/2011.12.11.読了

 村おこしの話でした。
 仕事に嫌気がさし、田舎に引っ込んだコピーライターが、行きかがり上、村おこしに知恵を出すことになります。やったイベントは…輪投げ!一度目は失敗し、悲惨な体験をした村人たちだが、再チャレンジを誓い、奮闘する…。
 こういう沈滞した集団→新しい刺激(人間)→新しいチャレンジ→失敗&対立→再起!→大成功!!というカタルシス系の話は、桂望実の得意分野ですね。この本は・・・まあまあ?

評価 良
# by susitaro522 | 2011-12-11 18:46

銀盤のトレース age15 転機

銀盤のトレース age15 転機_e0014175_1332482.jpg碧野 圭/実業之日本社文庫/600円/2011.12.9.読了

 「スポーツ青春もの」です!今回はフィギュアスケート。
 名古屋でフィギュアスケートをする中学生・竹中朱里が主人公。彼女の成長をメインに、スケートのクラブ(教室)、スポーツをメインに据える進学、コーチとの関係、けがとの戦い、フィギュアの技術、女性としての成長に伴う困難、そして、スケート選手を支えるために犠牲になる家族関係などがリアルに描かれています。読む前はあんまり期待していなかったけど、きっちり書きこんであるので、いろいろ勉強になりました。華やかな試合の放送でしかフィギュアスケートに触れる機会はないですが、あの舞台に立つまでに、何百人もの選手が挫折し、いろんなものを犠牲にしたり戦ったりしているんだということが実感できました。

評価 良
# by susitaro522 | 2011-12-09 17:58

奇談蒐集家

奇談蒐集家_e0014175_13313113.jpg太田忠司/創元推理文庫/680円/2011.12.8.読了

 「自ら体験した不可思議な話、求む。高額報酬新艇。ただし審査あり」という広告に引き寄せられ店を訪れる客たち。彼らが披露する奇談は、影が独立した動きをし自分を刺した男、古道具屋に現われた謎の美女と結婚した男、パリで知り合った手品師の予言で命を救われた女…など。奇談収集家の男はそれぞれの話を気に入り、奇談と認めるのだが…しかし、男性とも女性ともつかない美形の助手によって、その謎が解き明かされるのであった…という連作でした。最後の一篇ですべての謎が収束するというきちんとした構成の1冊でした。
 奇談蒐集家も美形の助手もキャラが作りこまれており、舞台となる酒場も凝っています。キャラ萌えってカンジ?萌えませんでしたけど。

評価 良
# by susitaro522 | 2011-12-08 19:38 | ミステリ

ガール・ミーツ・ガール

ガール・ミーツ・ガール_e0014175_1331285.jpg誉田哲也/光文社文庫/629円/2011.12.7.読了

 ロック歌手を目指す少女・柏木夏美を主人公にした「疾風ガール」の続編です。
 芸能事務所に所属した夏美。デビューシングルのために招かれた有能音楽プロデューサーと衝突!CMに起用され、プロモーションビデオ作りで衝突!バンドを組んでセッションすること、ぶつかり合うことを信条にしている彼女は効率よくきれいな仕上がりを目指す業界の大人たちと消灯を繰り返しながら、自分の主張を通していく…。
 そして後半は自分とはまったく違う個性の、そしてすでに有名人になっている、そして芸能界のサラブレッドの少女と組むことになります。その上、腕にほれ込んだピアニストの男性にバンドに入ってくれるように頼むのですが、つれなく断られ、なのにそのピアニストの彼のやっている貸し楽器店に、その彼女といっしょに働くことになり…と書いてきて、「ジウ」とか「武士道シリーズ」と同じパターンだということに気付きました(読んでる最中は気づきませんでした…汗)。前2作と比較して、個性の対比がそれほどくっきりしていないことと、夏美の視点からのみ書かれており、ぶつかりあいがあまりない(一方的な敬遠し、途中から保護者っぽくなる)からだと思います。
 個人的には、ピアニストのガク氏がツボ。冷淡で無愛想なのに、ピアノは繊細で暖かさに満ちている…というギャップに萌えます。夏美に「おまえは傲慢だ」と言い切るところも素敵です。言われたくはないですけどね。青春とは傲慢で残酷なもの、そしてそれを自分では自覚できず、自分が世界で一番傷ついていると信じているものなのです。

評価 良
# by susitaro522 | 2011-12-07 21:29